- 1級試験は合格率が各回とも10%前後の難関試験。
- 日商1級は日商2級よりも試験範囲・ボリュームが一気に広がる。
- 試験合格まで最低半年間の勉強が必要と言われている(毎日5時間以上勉強したほうがいいでしょう)。
- 独学での受験勉強は孤独になりがちでモチベーションの維持も大変。
といったことがあげられます。
試験の難易度については、合格発表の結果が参考になります。
2017年6月11日に実施された第146回日商簿記1級試験では、受験者数 9,064名、実受験者数 7,103名、合格者数 626名、合格率 8.8% という結果となりました。
つまり146回試験は全国で合格者数が626名しかいないという厳しい結果でした。
少しさかのぼってみると、131回、132回は12%台の合格率。これに対して、最近は137回から連続4回いずれも合格率が10%を下回り、143回は合格率 10.9%。辛うじて10%を上回りましたが、144回試験では 9.3%、146回試験では 8.8%となり日商簿記1級は合格が非常に難しい試験であるということがわかります。
ただ、だからといって独学で合格するのが絶対に無理かというとそういうわけではありません。今は通学講座で使用されている教材が本屋さんで売られている時代です。つまり講座を受講しなくても通学講座と同じ教材が手に入るため、独学でも講座受講生と同等の学習環境を手に入れることができるからです。
もし自分で教材を読んで学習内容が理解でき計算方法がわかって問題が解けるなら、理屈上は独学でも十分合格が可能ということになります。
講座代を節約して効率的に勉強したいという方は、まずは独学にチャレンジできるかリサーチしてみるといいでしょう。
それでは、次に日商簿記1級に合格するための勉強法を確認していくことにします。
1.日商1級は日商2級よりも試験範囲が広がり、ボリュームも増える。
1級は2級と比較すると試験範囲が広がり、ボリュームも増えます。感じ方には個人差がありますが、教材の分量からいって3倍以上に増えたと感じられる方も少なくないようです。その上、ひとつひとつの論点の理解が難しくなります。
そうすると、内容が難しい上に分量が多いということで「とにかくやるしかない」と思って、やみくもに勉強する方も出てくるわけですが、そのような勉強の仕方では効率が悪くなってしまうので注意が必要です。
勉強する内容の難易度が上がると、難しいことを勉強したくなるものです。その気持ちはよく理解できますが、それではかえってうまくいきません。
実は難しい論点は受験生の多くが苦手にしているため、難問が出題されてもそこで差がつくということはほとんどありません。これに対して、受験生の多くができる基本問題を取りこぼすとその差を挽回することが難しく合格が難しくなってしまうからです。
というわけで、普段の勉強においては差がつかない難しい論点に気をとられ、基本的な問題がおろそかになってしまうことのないよう気を付けるようにしましょう。
また経験を積むとわかってくることですが、1級の受験生がつまずく場合というのは、1級で勉強する内容が難しいからということよりも、1級の土台である3、2級(特に3級)の知識、簿記の基本を忘れてしまったとか、基本的な理解が不十分だったからという理由によるものが多いです。
そこで、1級の難しい論点をやみくもに勉強しようとするのではなく、急がばまわれで2級や3級の内容を確認しながら勉強を進めていくように心がけてください。
2.仕訳ができるかどうかがポイントです。
意外に思われるかもしれませんが、1級でも仕訳は重要です。
日商簿記1級においても仕訳問題は出題されますし、問題形式は仕訳でなくても問題を解く過程において仕訳の力が必ず問われるからです。
日商簿記3級・2級と比較すると仕訳問題がストレートに問われることが少ないため軽視されがちですが、実は1級の試験においても「仕訳を制するものは簿記を制する」があてはまることを覚えておきましょう。
ただし、勉強の仕方には注意が必要です。
問題文を見て機械的に仕訳を答えるような暗記中心の勉強法では、表現をちょっと変えられただけで対応できなくなってしまいます。
なぜその勘定科目を使うのか、その勘定科目が借方(貸方)に書かれるのか、理由を一つ一つ丁寧に抑えながら、かつ条件反射的で仕訳できるようにトレーニングを続けることが大切です。
3.自分で出題予想をして、それをもとに作戦を立てる
1.でも書いたように仕訳や勘定記入など簿記の基本事項の理解は重要です。
ただ、簿記1級の試験範囲は広いので、毎日仕事や家事、通学に忙しい中、すべての項目を丁寧に勉強していたのでは試験日までに勉強が終わらなくなってしまいます。
そこで試験勉強を効率よく進めるために、まず自分で次回試験の出題予想をして、それをもとに作戦を立てて勉強を進めていくという方法をおすすめします。
日商1級試験の特徴
簿記3級や簿記2級では、同じ論点が2回連続で出題されることはあまりありません。多くの受験生は試験対策で過去問を解いているため、前回と同じ問題を出題するとみんなが出来てしまい試験が簡単になりすぎてしまうからです。
そのため、3級や2級では前回試験で出題された論点は出題予想から外して考えることができます。
これに対して日商1級は、前回の試験で出来が悪かった問題を次の試験でも繰り返し出題したり、比較的最近出題された論点が再度出題されるということがあります。1級は試験範囲が広いので全範囲を網羅的に理解し記憶しておくのは大変だし、また出題形式をちょっと変えただけでも難易度が高い問題を簡単に作ることができるからです。
そこで、いきなり全範囲を網羅しようとするのではなく、まず
- 出題が予想される論点に勉強範囲を絞り
- 出題が予想される論点の問題を繰り返し解く
というようにして出題が予想される論点から勉強を始めるのが効果的です。
予想論点を繰り返し勉強してできるようになってくると、これが出れば合格できるという自信につながります。
自分に自信がついてくると不思議と勉強をやる気も湧いてきます。
こうして勉強のやる気が湧いてきた状態で、次は出題予想以外の範囲に進み、一つずつ攻略していけばモチベーションを維持したまま試験日を迎えることができます。
第146回日商簿記1級出題予想 で出題予想から考える1級の試験対策についてまとめましたので、ぜひ読んでみてください。
ここをクリック▶第147回日商簿記1級出題予想
4.練習問題をたくさん解けばそれだけ実力がつきます。
3級や2級と同様に簿記1級も問題を解けば解くほど力が付いてきます。
学習範囲が膨大だとつい答案用紙に書き込みながら問題を解くという作業を端折りがちですが、勉強中は常に「今が試験本番だ」と思って、面倒くさがらず書くように心がけましょう。
問題を読んで、電卓をたたいて、実際にシャープペンで答案用紙に解答を書き込んでいく
という問題を解く練習をしなければ、簿記はできるようになりません。
1級を勉強されている方は「初めて」ということはないと思いますが、簿記の勉強が初めてという人におすすめしたい「書く」勉強法もぜひ読んでみてください。
5.おすすめの試験対策書籍
日商簿記1級の試験対策書籍については定評あるTAC出版のテキストや問題集をおすすめします。
日商簿記1級 厳選合格セット 15%OFF
表紙 | タイトル | 通常価格 | セール価格 |
---|---|---|---|
1級 スッキリ 厳選合格セット | 17,971円 | ||
1級 教科書 厳選合格セット | 18,662円 | ||
1級 よくわかる 厳選合格セット | 24,912円 |
6.日商簿記1級独学道場
日商簿記1級は難関試験。
「独学で合格してやるぞ!」と意気込んで勉強を始めても、試験範囲の広さと難易度の高さから「独学で大丈夫かな…」と不安になっていったとしても全く不思議のない試験です。
TACで開講している独学道場という講座は、テキスト・問題集といった教材にインターネット上で受講するWEB講義とTACの直前答練がセットになっているため、途中で挫折することなく最後までしっかり勉強を続けることができます。
「完全な独学では勉強が続けられるか不安」という方は、下記リンク先から講座の説明を読んでみましょう。勉強をどのように進めていけばよいか参考になると思います。
現在、2018年6月(第149回)検定合格目標のスタンダードコースと2018年11月(第150回)検定合格目標のロングランコースが講座申し込みを受付中です。
コース | 定価 |
第149回目標 日商簿記 独学道場 1級【スタンダード】フルパック | 75,000円 |
第150回目標 日商簿記 独学道場 1級【ロングラン】フルパック | 89,000円 |
独学道場のセット内容
独学道場に含まれる、教材などのセット内容を確認しておきます。
独学道場で使用するテキストは簿記の教科書、問題集は簿記の問題集です。「商業簿記・会計学の6冊セット」、「工業簿記・原価計算の6冊セット」の会員価格はそれぞれ6,610円、合計13,220円。教科書と問題集がついてくるフルパックの受講料は89,000円、教科書と問題集がない 「なしパック」は76,600円なので、差額の12,400円がちょうど教科書と問題集12冊分(会員価格)と同じになるように設定されています。
また、独学道場にはTACの簿記講座の的中答練5回、全国公開模試1回分が含まれています。的中答練や公開模試は教室や模試会場で受講することもできるので、試験直前は本試験さながらの雰囲気で試験のシミュレーションをすることもできます。
このように独学道場には合格に必要十分な教材が揃っているので、安心して勉強に没頭することができます。特に直前対策講座が含まれているので直前期になって講座を申し込むかどうか悩んで時間をムダにする心配がありません。勉強の意欲にあふれている今の時期に申し込み手続き関係は済ませて、勉強に集中するようにしましょう。
第149回目標 日商簿記 独学道場 1級 フルパックのセット内容
149回 簿記1級 独学道場 フル | 75,000円 | ||
含まれる教材等 | |||
1級 商・会 6冊セット | 0 | 06,610円 | |
1級 工・原 6冊セット | 0 | 06,610円 | |
教科書 問題集 合計(12冊分) | 13,220円 | ||
149回 1級 直前予想 | 0 | 01,944円 | |
149回 1級 総まとめ | 0 | 01,555円 | |
日商簿記1級 的中答練5回、 全国模試1回 | 日商簿記1級 的中答練 | ー | ー |
その他 Web講義ほか | ー | ー | ー |
第149回目標 日商簿記 独学道場 1級 教材なしコースのセット内容
149回 簿記1級 独学道場 教材なし | 62,600円 | ||
含まれる教材等 | |||
149回 1級 直前予想 | 0 | 01,944円 | |
149回 1級 総まとめ | 0 | 01,555円 | |
日商簿記1級 的中答練5回、 全国模試1回 | 日商簿記1級 的中答練 | ー | ー |
その他 Web講義ほか | ー | ー | ー |
第150回目標 日商簿記 独学道場 1級 フルパックのセット内容
150回 簿記1級 独学道場 フル | 89,000円 | ||
含まれる教材等 | |||
1級 商・会 6冊セット | 0 | 06,610円 | |
1級 工・原 6冊セット | 0 | 06,610円 | |
教科書 問題集 合計(12冊分) | 13,220円 | ||
150回 1級 直前予想 | 0 | 01,944円 | |
150回 1級 総まとめ | 0 | 01,555円 | |
日商簿記1級 的中答練5回、 全国模試1回 | 日商簿記1級 的中答練 | ー | ー |
その他 Web講義ほか | ー | ー | ー |
第150回目標 日商簿記 独学道場 1級 教材なしコースのセット内容
150回 簿記1級 独学道場 教材なし | 76,600円 | ||
含まれる教材等 | |||
150回 1級 直前予想 | 0 | 01,944円 | |
150回 1級 総まとめ | 0 | 01,555円 | |
日商簿記1級 的中答練5回、 全国模試1回 | 日商簿記1級 的中答練 | ー | ー |
その他 Web講義ほか | ー | ー | ー |
7.無料で問題集を入手する方法
難関試験の日商簿記1級の場合、いろいろなタイプの問題をなるべく多く解くようにすると本番でどんな問題が出ても対応できる応用力が身につくのでおすすめです。
資格試験業界大手のTACや大原では会計系資格の問題付き解答解説集を無料で配付しているので、これを取り寄せるだけで無料の問題集として使うことができます。
たとえば、全経簿記上級試験(TACのみ)、税理士試験の簿記論・財務諸表論、公認会計士短答式試験(冊子なし)の問題は1級の勉強に特に役に立つと思います。
下記リンク先から無料で資料請求できますので、興味のある試験の問題を取り寄せてみましょう。
TAC | 第147回 日商簿記検定3・2・1級 解答速報 |
全経簿記上級試験 解答速報 | |
税理士試験 解答速報 | |
公認会計士短答式試験 解答速報 |
大原 | 簿記講座【資格の大原】 |
税理士講座【資格の大原】 | |
公認会計士講座【資格の大原】 |
LEC | 日商簿記サイトはこちら |
税理士サイトはこちら | |
公認会計士サイトはこちら |
8.日商簿記1級対策講座の受講を検討する場合
日商簿記1級の勉強は長期間にわたるので、独学の場合モチベーションの維持などがなかなか大変です。
日商簿記1級のテキストや問題集一式を買って実際に自宅に届いたときに「え、こんなにたくさんあるの?」と思われる方は多いのです。
大量の教材に圧倒されて勉強のペースを見失うことのないように、通学講座や通信講座の受講を検討してみるのもアリだと思います。
簿記の講座はさまざま学校で開講されていますが、受験生からの評判もよくここなら受講しても大丈夫という日商簿記1級のおすすめ講座をご紹介します。
講座選びの参考になるように日商簿記講座について講座内容、受講料などを徹底比較してみました。
1.資格の学校 TAC
徹底比較はコチラ
▶TAC 日商簿記1級講座徹底比較 ! 自分にぴったりの講座を選ぼう!
定評あるTACの簿記講座です。
講座カリキュラムには合格に必要と思われる内容がバッチリ含まれているので安心して勉強を進めることができます。
まずは資料請求をしてみるといいでしょう。
2.資格の大原
徹底比較はコチラ
▶大原 日商簿記1級講座徹底比較 ! 自分にぴったりの講座を選ぼう!
簿記講座といえば大原というくらい有名な学校です。
若くて元気な先生が揃っているので、通学講座を受講し先生をつかまえて自分が理解できるまでしつこいくらいに質問してみるのもいいと思います。
多数の講座が開講しているので、まずは資料請求をしてみましょう。
3.LEC
法律系資格に強いLECでも日商簿記1級講座が開講されています。
資料請求やおためし受講をしてみましょう。
まとめ
日商簿記1級は学習範囲が広く勉強するのが大変です。
独学で合格を目指す方は、①出題予想を立てて勉強範囲を絞り、②自信がついてきたら徐々に範囲を広げていくという勉強法をおすすめします。▶第147回日商簿記1級出題予想
ただ、「わからないところがあったらすぐに質問できる」とか「競争相手がいてモチベーションを維持できる」など講座を受講するメリットは大きいので、可能であれば何か講座を受講して勉強した方が効率があがると思います。
それでも、どうしても独学にこだわりたい!という方は、TACの日商簿記1級 独学道場 のページを見てみましょう。勉強の進め方のヒントが見つかるかもしれません。
講座を申し込む場合は、申し込んだ後になって後悔しないように、各予備校のWEBサイト等やパンフレット等を熟読して自分に一番合いそうなところが見つかるまで納得いくまでよーく考えてみてくださいね。
自分の勉強スタイルにピッタリ合いそうなところが見つかったら、講座代の元を取るつもりで徹底的に利用しましょう。わからないところはどんどん質問しましょう。
やれば必ず道は開けます。合格目指してがんばっていきましょう!
当サイトも、合格を目指してがんばる皆さんを全力で応援します!!