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【新しい日商簿記2級 商業簿記 仕訳攻略13】税金、税効果会計

2020年4月1日に出版された『Let’s Start! 新しい日商簿記2級 商業簿記 テキスト&問題集 2020年度版』「新しい日商簿記2級 商業簿記」)は、とにかく画期的な簿記本です。

テキストは全ページオールカラーで、ページレイアウトのセンスや色使いがvery good!

最高に美しく読みやすい簿記テキストに仕上がっています。

キャラ化した勘定科目簡単な場面設定により、とっつきにくい簿記が楽しく学べるので、これから簿記の勉強を始めてみようかな…と思っている方におすすめです。

簿記の基本は仕訳です。

「仕訳を制する者は簿記を制す!」と言われるほど重要なので、検定試験の合格を目指すなら、仕訳は何としても得意にしておきたいところ。

このページでは、「新しい日商簿記2級 商業簿記」STAGE4 テーマ13 税金、税効果会計に登場する仕訳の徹底攻略法をまとめました。

税金、税効果会計に登場する仕訳は以下のとおりです。

  • 消費税
  • 法人税等
  • 課税所得の計算
  • 税効果会計

 

この「新しい日商簿記2級 商業簿記」に登場する仕訳の中から特に重要な問題を厳選して

  1. 問題文
  2. 解答(仕訳)
  3. この仕訳になる理由

の順で掲載しました。

※仕訳問題は、滝澤 ななみ 先生の許可を得て掲載しています。「この仕訳になる理由」は、当サイトで作成したものです。

問題の下をクリックすると窓が開いて、解答(仕訳)この仕訳になる理由が読めるようになっています。

問題文を読んで、どんな仕訳になるのか少し考えてみる➡クリックして解答(仕訳)この仕訳になる理由を見て答え合わせ……という感じで、テキストを参照しながら使ってみてください。

もし解けない問題があったり、疑問点が生じた場合は、必ず「新しい日商簿記2級 商業簿記」に戻って確認しながら進めてくださいね。

それでは、合格目指してがんばっていきましょう!

目次

税金、税効果会計

消費税の仕訳

商品を仕入れたとき(税抜方式)

商品を仕入れたときに支払った消費税は、仮払消費税(資産)で処理します。

例 50-1 P.261
商品100円(税抜価格)を仕入れ、代金は掛けとした。消費税率は10%である。

 仮払消費税:100円×10%=10円
(借) 仕 入 100
(借) 仮払消費税 10
   (貸) 買掛金 110
「仕入」(費用)が増加した➡「仕入」は借方(左側)
「仮払消費税」(資産)が増加した➡「仮払消費税」は借方(左側)
「買掛金」(負債)が増加した➡「買掛金」は貸方(右側)

商品を売り上げたとき(税抜方式)

商品を売り上げたときに受け取った消費税は、仮受消費税(負債)で処理します。

例 50-2 P.261
商品300円(税抜価格)を売り上げ、代金は掛けとした。消費税率は10%である。

 仮受消費税:300円×10%=30円
(借) 売掛金 330
   (貸) 売 上 300
   (貸) 仮受消費税 30
「売掛金」(資産)が増加した➡「売掛金」は借方(左側)
「売上」(収益)が増加した➡「売上」は貸方(右側)
「仮受消費税」(負債)が増加した➡「仮受消費税」は貸方(右側)

決算時(税抜方式)

決算になったら、仮払消費税(資産)と仮受消費税(負債)を相殺し、差額を未払消費税(負債)で処理します。仮受消費税(資産)よりも仮払消費税(負債)のほうが大きい場合には、その差額を未収還付消費税(資産)で処理します。

例 50-3 P.262
決算において、消費税の納付額を計算する。なお、仮払消費税は10円、仮受消費税は30円である。
(借) 仮受消費税 30
   (貸) 仮払消費税 10
   (貸) 未払消費税 20
「仮受消費税」(負債)が減少した➡「仮受消費税」は借方(左側)
「仮払消費税」(資産)が減少した➡「仮払消費税」は貸方(右側)
「未払消費税」(負債)が増加した➡「未払消費税」は貸方(右側)

納付時(税抜方式)

消費税を納付したときは、未払消費税(負債)の減少として処理します。

例 50-4 P.262
未払消費税20円を当座預金口座から支払った。
(借) 未払消費税 20
   (貸) 当座預金 20
「未払消費税」(負債)が減少した➡「未払消費税」は借方(左側)
「当座預金」(資産)が減少した➡「当座預金」は貸方(右側

商品を仕入れたとき(税込方式)

商品を仕入れたときに支払った消費税は、仕入(費用)に含めて処理します。

例 50-5 P.263
商品100円(税抜価格)を仕入れ、代金は掛けとした。消費税率は10%である。

 消費税額:100円×10%=10円
 仕入:100円+10円=110円
(借) 仕 入 110
   (貸) 買掛金 110
「仕入」(費用)が増加した➡「仕入」は借方(左側)
「買掛金」(負債)が増加した➡「買掛金」は貸方(右側

商品を売り上げたとき(税込方式)

商品を売り上げたときに受け取った消費税は、売上(収益)に含めて処理します。

例 50-6 P.263
商品300円(税抜価格)を売り上げ、代金は掛けとした。消費税率は10%である。

 消費税額:300円×10%=30円
 売上:300円+30円=330円
(借) 売掛金 330
   (貸) 売 上 330
「売掛金」(資産)が増加した➡「売掛金」は借方(左側)
「売上」(収益)が増加した➡「売上」は貸方(右側

決算時(税込方式)

決算になったら、売上に含まれる消費税額(仮受消費税)と仕入に含まれる消費税額(仮払消費税)の差額から納付額を計算して、未払消費税(負債)で処理するとともに、租税公課(費用)を計上します。

例 50-7 P.264
決算において、消費税の納付額を計算する。なお、当期の売上高(税込価格)は330円、仕入高(税込価格)は110円であった。消費税率は10%である。

 仮受消費税:330円÷1.1×0.1=30円
 仮払消費税:110円÷1.1×0.1=10円
 未払消費税:30円-10円=20円
(借) 租税公課 20
   (貸) 未払消費税 20
「租税公課」(費用)が増加した➡「租税公課」は借方(左側)
「未払消費税」(負債)が増加した➡「未払消費税」は貸方(右側)

納付時(税込方式)

消費税を納付したときは、未払消費税(負債)の減少として処理します。

例 50-8 P.265
未払消費税20円を当座預金口座から支払った。
(借) 未払消費税 20
   (貸) 当座預金 20
「未払消費税」(負債)が減少した➡「未払消費税」は借方(左側)
「当座預金」(資産)が減少した➡「当座預金」は貸方(右側

法人税等の仕訳

法人税等を中間納付したとき

中間申告によって納付した法人税等は、仮払法人税等(資産)で処理します。

例 51-1 P.267
法人税等の中間申告で300円を現金で納付した。
(借) 仮払法人税等 300
   (貸) 現 金 300
「仮払法人税等」(資産)が増加した➡「仮払法人税等」は借方(左側)
「現金」(資産)が減少した➡「現金」は貸方(右側

決算時

例 51-2 P.267
決算において、当期の法人税等が800円と確定した。なお、中間申告額300円は仮払法人税等に計上されている。
(借) 法人税、住民税及び事業税 800
   (貸) 仮払法人税等 300
   (貸) 未払法人税等 500
「法人税、住民税及び事業税」(費用)が増加した➡「法人税、住民税及び事業税」は借方(左側)
「仮払法人税等」(資産)が減少した➡「仮払法人税等」は貸方(右側)
「未払法人税等」(負債)が増加した➡「未払法人税等」は貸方(右側)

法人税等を納付したとき

例 51-3 P.268
未払法人税等500円を現金で納付した。
(借) 未払法人税等 500
   (貸) 現 金 500
「未払法人税等」(負債)が減少した➡「未払法人税等」は借方(左側)
「現金」(資産)が減少した➡「現金」は貸方(右側

課税所得の計算

例 52-1 P.271
当期の決算において、税引前当期純利益が900円と計算されたが、当期に費用計上した減価償却費400円のうち100円が損金不算入となった。課税所得に対して40%の法人税を計上する。なお、仮払法人税等はない。

 課税所得:900円+100円=1,000円
 法人税等:1,000円×40%=400円
(借) 法人税、住民税及び事業税 400
   (貸) 未払法人税等 400
「法人税、住民税及び事業税」(費用)が増加した➡「法人税、住民税及び事業税」は借方(左側)
「未払法人税等」(負債)が増加した➡「未払法人税等」は貸方(右側

 

例 52-2 P.272
当期の決算において、税引前当期純利益が450円と計算されたが、貸倒引当金の当期繰入額50円が損金不算入となった。課税所得に対して40%の法人税を計上する。なお、仮払法人税等はない。

 課税所得:450円+50円=500円
 法人税等:500円×40%=200円
(借) 法人税、住民税及び事業税 200
   (貸) 未払法人税等 200
「法人税、住民税及び事業税」(費用)が増加した➡「法人税、住民税及び事業税」は借方(左側)
「未払法人税等」(負債)が増加した➡「未払法人税等」は貸方(右側

税効果会計の仕訳

貸倒引当金にかかる一時差異

会計上、当期の費用とした貸倒引当金繰入のうち、税法上の限度額を超える金額については損金不算入となります。そのため、超過額について税効果会計を適用します。

例 53-1 P.279
第1期の決算において、売掛金に対して100円の貸倒引当金を繰り入れたが全額が損金不算入となった。なお、法人税等の実効税率は40%とする。

会計上の仕訳

(借) 貸倒引当金繰入 100
   (貸) 貸倒引当金 100

税効果の金額:100円×40%=40円

(借) 繰延税金資産 40
   (貸) 法人税等調整額 40
「繰延税金資産」(資産)が増加した➡「繰延税金資産」は借方(左側)
「法人税等調整額」➡貸方(右側

貸倒引当金を設定した翌年度以降に、その債権(売掛金など)が貸し倒れるなどして、差異が解消したときは、差異が発生したときの逆仕訳をします。なお、法人税等の調整は期末に行うため、前期までに発生した差異の解消と当期に発生した差異の処理は期末にまとめて行います。

 

例 53-2 P.280
第1期末(例53-1)で計上した貸倒引当金100円にかかる売掛金が貸し倒れ、損金算入が認められた。第2期末において、売掛金に対して150円の貸倒引当金を繰り入れたが全額が損金不算入となった。なお、法人税等の実効税率は40%とする。

 ①差異の解消

税効果の金額:100円×40%=40円

(借) 法人税等調整額 40
   (貸) 繰延税金資産 40
「繰延税金資産」(資産)が減少した➡「繰延税金資産」は貸方(右側)
「法人税等調整額」➡借方(左側)

 

例 53-2 P.280
第1期末(例53-1)で計上した貸倒引当金100円にかかる売掛金が貸し倒れ、損金算入が認められた。第2期末において、売掛金に対して150円の貸倒引当金を繰り入れたが全額が損金不算入となった。なお、法人税等の実効税率は40%とする。

 ②第2期で発生した差異

税効果の金額:150円×40%=60円

(借) 繰延税金資産 60
   (貸) 法人税等調整額 60
「繰延税金資産」(資産)が増加した➡「繰延税金資産」は借方(左側)
「法人税等調整額」➡貸方(右側)

 

例 53-2 P.280
第1期末(例53-1)で計上した貸倒引当金100円にかかる売掛金が貸し倒れ、損金算入が認められた。第2期末において、売掛金に対して150円の貸倒引当金を繰り入れたが全額が損金不算入となった。なお、法人税等の実効税率は40%とする。

 ③第2期の税効果の仕訳(①+②)
(借) 法人税等調整額 40
   (貸) 繰延税金資産 40

   +

(借) 繰延税金資産 60
   (貸) 法人税等調整額 60
(借) 繰延税金資産 20
   (貸) 法人税等調整額 20
「繰延税金資産」(資産)が増加した➡「繰延税金資産」は借方(左側)
「法人税等調整額」➡貸方(右側)

減価償却にかかる一時差異

会計上、当期の費用とした減価償却費のうち、税法上の限度額を超える金額については損金不算入となります。そのため、超過額について税効果会計を適用します。

例 53-3 P.281
第1期の決算において、備品の減価償却費500円を計上したが、このうち200円が損金不算入となった。なお、法人税等の実効税率は40%とする。

会計上の仕訳

(借) 減価償却費 500
   (貸) 備品減価償却累計額 500

税効果の金額:200円×40%=80円

(借) 繰延税金資産 80
   (貸) 法人税等調整額 80
「繰延税金資産」(資産)が増加した➡「繰延税金資産」は借方(左側)
「法人税等調整額」➡貸方(右側

その他有価証券評価差額金にかかる一時差異

会計上は、その他有価証券を時価に評価替えしますが、税法上はその他有価証券の評価替えは認められていません。そこで、その他有価証券の評価差額について税効果会計を適用します。

なお、その他有価証券の評価差額は損益科目ではなく、その他有価証券評価差額金(純資産)で処理しているため、税効果会計を適用するときは、法人税等調整額ではなく、その他有価証券評価差額金(純資産)を用います。

例 53-4 P.282
第1期末におけるその他有価証券(帳簿価額120円)の時価は160円であった。法人税等の実効税率は40%として税効果会計を適用する。

 ①評価差額:160円-120円=40円→評価差益

会計上の仕訳

(借) その他有価証券 40
   (貸) その他有価証券評価差額金 40
「その他有価証券」(資産)が増加した➡「その他有価証券」は借方(左側)
「その他有価証券評価差額金」(純資産)が増加した➡「その他有価証券評価差額金」は貸方(右側

②税効果の金額:40円×40%=16円

(借) その他有価証券評価差額金 16
   (貸) 繰延税金負債 16
「その他有価証券評価差額金」(純資産)が減少した➡「その他有価証券評価差額金」は借方(左側)
「繰延税金負債」(負債)が増加した➡「繰延税金負債」は貸方(右側

 

その他有価証券を評価替えした場合、翌期首に再振替仕訳をします。そのときに税効果の仕訳も逆仕訳をして振り戻します。

例 53-5 P.282
第2期の期首において、例53-4 の評価差額について再振替仕訳をした。

会計上の仕訳

(借) その他有価証券評価差額金 40
   (貸) その他有価証券 40
(借) 繰延税金負債 16
   (貸) その他有価証券評価差額金 16
「繰延税金負債」(負債)が減少した➡「繰延税金負債」は借方(左側)
「その他有価証券評価差額金」(純資産)が増加した➡「その他有価証券評価差額金」は貸方(右側

まとめ

以上、「新しい日商簿記2級 商業簿記」STAGE4 テーマ13 税金、税効果会計に登場する仕訳を見てきました。

消費税法人税課税所得の計算税効果会計など見慣れない論点がたくさん登場するので、最初のうちは戸惑ってしまうところがあるかもしれません。まずは、テキストをよく読んで内容を理解し、仕訳が導き出せるようにトレーニングしていきましょう。

仕訳の作り方

  • その勘定科目が資産・負債・収益・費用・純資産のどれにあたるのか
  • 資産・負債・収益・費用・純資産のホームポジションは、借方(左側)・貸方(右側)のどちらか➡資産費用借方(左側)負債収益純資産貸方(右側)

の2つが、仕訳を作るためには必須の知識となります。

もし仕訳の作り方を忘れたら、この2つのポイントに立ち返ってもう一度考えてみてください。

「新しい日商簿記3級」STAGE1のLesson3「仕訳の作り方」に、簿記の一番重要なポイントがよくまとめられています。2級の勉強を始められた方も、途中で何度かここに戻って「仕訳の作り方」を確認しておいてくださいね!

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