【新しい日商簿記2級 商業簿記 仕訳攻略12】剰余金の配当と処分

2020年4月1日に出版された『Let’s Start! 新しい日商簿記2級 商業簿記 テキスト&問題集 2020年度版』「新しい日商簿記2級 商業簿記」)は、とにかく画期的な簿記本です。

テキストは全ページオールカラーで、ページレイアウトのセンスや色使いがvery good!

最高に美しく読みやすい簿記テキストに仕上がっています。

キャラ化した勘定科目簡単な場面設定により、とっつきにくい簿記が楽しく学べるので、これから簿記の勉強を始めてみようかな…と思っている方におすすめです。

簿記の基本は仕訳です。

「仕訳を制する者は簿記を制す!」と言われるほど重要なので、検定試験の合格を目指すなら、仕訳は何としても得意にしておきたいところ。

このページでは、「新しい日商簿記2級 商業簿記」STAGE4 テーマ12 剰余金の配当と処分に登場する仕訳の徹底攻略法をまとめました。

剰余金の配当と処分に登場する仕訳は以下のとおりです。

  • 損益勘定からの振り替え
  • 剰余金の配当と処分
  • 準備金積立額の計算
  • 株主資本等変動計算書

 

 

この「新しい日商簿記2級 商業簿記」に登場する仕訳の中から特に重要な問題を厳選して

  1. 問題文
  2. 解答(仕訳)
  3. この仕訳になる理由

の順で掲載しました。

※仕訳問題は、滝澤 ななみ 先生の許可を得て掲載しています。「この仕訳になる理由」は、当サイトで作成したものです。

問題の下をクリックすると窓が開いて、解答(仕訳)この仕訳になる理由が読めるようになっています。

問題文を読んで、どんな仕訳になるのか少し考えてみる➡クリックして解答(仕訳)この仕訳になる理由を見て答え合わせ……という感じで、テキストを参照しながら使ってみてください。

もし解けない問題があったり、疑問点が生じた場合は、必ず「新しい日商簿記2級 商業簿記」に戻って確認しながら進めてくださいね。

それでは、合格目指してがんばっていきましょう!

剰余金の配当と処分

損益勘定からの振り替えの仕訳

株式会社では、損益勘定で計算された当期純利益または当期純損失を繰越利益剰余金勘定に振り替えます。

当期純利益の場合

当期純利益を計上したときは、損益勘定から繰越利益剰余金勘定の貸方に振り替えます。

例 46-1 P.241
決算において、当期純利益200円を計上した。
(借) 損 益 200
   (貸) 繰越利益剰余金 200

当期純利益➡繰越利益剰余金(純資産)が増加
繰越利益剰余金(純資産)は貸方
借方の相手科目が損益

「繰越利益剰余金」(純資産)が増加した➡「繰越利益剰余金」は貸方(右側)
「損益」は借方(左側)

当期純損失の場合

当期純損失を計上したときは、損益勘定から繰越利益剰余金勘定の借方に振り替えます。

例 46-2 P.241
決算において、当期純損失100円を計上した。
(借) 繰越利益剰余金 100
   (貸) 損 益 100

当期純損失➡繰越利益剰余金(純資産)が減少
繰越利益剰余金(純資産)は借方
貸方の相手科目が損益

「繰越利益剰余金」(純資産)が減少した➡「繰越利益剰余金」は借方(左側)
「損益」は貸方(右側)

剰余金の配当と処分の仕訳

株主総会で配当等が決定したとき(繰越利益剰余金からの配当等)

株主総会で繰越利益剰余金からの配当等が決定したときは、繰越利益剰余金(純資産)からそれぞれの勘定科目に振り替えます。

なお、株主配当金については、株主総会の場では配当額が決定するだけで支払いは後日となるため、未払配当金(負債)で処理します。

例 47-1 P.243
株主総会において、繰越利益剰余金を次のように配当等することが承認された。

 株主配当金 300円 利益準備金 30円 別途積立金 20円
(借) 繰越利益剰余金 350
   (貸) 未払配当金 300
   (貸) 利益準備金 30
   (貸) 別途積立金 20
「繰越利益剰余金」(純資産)が減少した➡「繰越利益剰余金」は借方(左側)
「未払配当金」(負債)が増加した➡「未払配当金」は貸方(右側)
「利益準備金」(純資産)が増加した➡「利益準備金」は貸方(右側)
「別途積立金」(純資産)が増加した➡「別途積立金」は貸方(右側)

株主総会で配当等が決定したとき(その他資本剰余金からの配当等)

株主総会でその他資本剰余金からの配当等が決定したときは、その他資本剰余金(純資産)からそれぞれの勘定科目に振り替えます。

例 47-2 P.244
株主総会において、その他資本剰余金を次のように配当等することが承認された。

 株主配当金 200円 資本準備金 20円
(借) その他資本剰余金 220
   (貸) 未払配当金 200
   (貸) 資本準備金 20
「その他資本剰余金」(純資産)が減少した➡「その他資本剰余金」は借方(左側)
「未払配当金」(負債)が増加した➡「未払配当金」は貸方(右側)
「資本準備金」(純資産)が増加した➡「資本準備金」は貸方(右側)

配当金を支払ったとき

株主に配当金を支払ったときは、未払配当金(負債)の減少で処理します。

例 47-3 P.245
例47-2 で決定した株主配当金200円を当座預金口座から支払った。
(借) 未払配当金 200
   (貸) 当座預金 200
「未払配当金」(負債)が減少した➡「未払配当金」は借方(左側)
「当座預金」(資産)が減少した➡「当座預金」は貸方(右側)

準備金積立額の計算(繰越利益剰余金からの配当)

例 48-1 P.247
株主総会において、繰越利益剰余金を次のように配当等することが承認された。

 株主配当金 200円 利益準備金 ?円(各自推定)
 なお、資本金は1,000円、資本準備金は100円、利益準備金は60円であった。

 ①積立予定額:200円÷10=20円
 ②積立限度額:1,000円÷4-(100円+60円)=90円
 ③積立額:①<② ➡① 20円
(借) 繰越利益剰余金 220
   (貸) 未払配当金 200
   (貸) 利益準備金 20
「繰越利益剰余金」(純資産)が減少した➡「繰越利益剰余金」は借方(左側)
「未払配当金」(負債)が増加した➡「未払配当金」は貸方(右側)
「利益準備金」(純資産)が増加した➡「利益準備金」は貸方(右側)

準備金積立額の計算(その他資本剰余金からの配当)

配当財源がその他資本剰余金の場合には、資本準備金を積み立てます。

例 48-2 P.248
株主総会において、その他資本剰余金を次のように配当等することが承認された。

 株主配当金 200円 資本準備金 ?円(各自推定)
 なお、資本金は800円、資本準備金は150円、利益準備金は40円であった。

 ①積立予定額:200円÷10=20円
 ②積立限度額:800円÷4-(150円+40円)=10円
 ③積立額:①>② ➡② 10円
(借) その他資本剰余金 210
   (貸) 未払配当金 200
   (貸) 資本準備金 10
「その他資本剰余金」(純資産)が減少した➡「その他資本剰余金」は借方(左側)
「未払配当金」(負債)が増加した➡「未払配当金」は貸方(右側)
「資本準備金」(純資産)が増加した➡「資本準備金」は貸方(右側)

準備金積立額の計算(繰越利益剰余金とその他資本剰余金からの配当)

配当財源が繰越利益剰余金とその他資本剰余金の両方の場合には、剰余金の割合によって資本準備金積立額利益準備金積立額を計算します。

例 48-3 P.249
株主総会において、繰越利益剰余金とその他資本剰余金を財源とした剰余金の配当等が次のように承認された。

 繰越利益剰余金からの株主配当金 300円
 その他資本剰余金からの株主配当金 200円
 利益準備金 ?円(各自計算)
 資本準備金 ?円(各自計算)
 なお、資本金は1,000円、資本準備金は100円、利益準備金は60円であった。

 ①積立予定額:(300円+200円)÷10=50円
 ②積立限度額:1,000円÷4-(100円+60円)=90円
 ③積立額:①<② ➡① 50円
 ④利益準備金:50円÷(300円+200円)×300円=30円
 ⑤資本準備金:50円÷(300円+200円)×200円=20円
(借) 繰越利益剰余金 330
(借) その他資本剰余金 220
   (貸) 未払配当金 500
   (貸) 利益準備金 30
   (貸) 資本準備金 20
「繰越利益剰余金」(純資産)が減少した➡「繰越利益剰余金」は借方(左側)
「その他資本剰余金」(純資産)が減少した➡「その他資本剰余金」は借方(左側)
「未払配当金」(負債)が増加した➡「未払配当金」は貸方(右側)
「利益準備金」(純資産)が増加した➡「利益準備金」は貸方(右側)
「資本準備金」(純資産)が増加した➡「資本準備金」は貸方(右側)

株主資本等変動計算書の仕訳

新株の発行

新株を発行すると資本金(純資産)や資本準備金(純資産)が増加します。

例 49-1 P.252
当期に株式を発行し、1,000円の払い込みを受け、当座預金とした。なお、払込金額のうち600円は資本金とし、残額は資本準備金とした。
(借) 当座預金 1,000
   (貸) 資本金 600
   (貸) 資本準備金 400
「当座預金」(資産)が増加した➡「当座預金」は借方(左側)
「資本金」(純資産)が増加した➡「資本金」は貸方(右側)
資本準備金」(純資産)が増加した➡「資本準備金」は貸方(右側)

剰余金の配当、処分

剰余金の配当、処分をすると繰越利益剰余金(純資産)などが減少し、利益準備金(純資産)などが増加します。なお、未払配当金(負債)は純資産ではないので株主資本等変動計算書に記入しません。

例 49-2 P.253
株主総会において、繰越利益剰余金を次のように配当等することが承認された。

 株主配当金 200円 利益準備金 20円
(借) 繰越利益剰余金 220
   (貸) 未払配当金 200
   (貸) 利益準備金 20
「繰越利益剰余金」(純資産)が減少した➡「繰越利益剰余金」は借方(左側)
「未払配当金」(負債)が増加した➡「未払配当金」は貸方(右側)
「利益準備金」(純資産)が増加した➡「利益準備金」は貸方(右側)

当期純利益の計上

当期純利益を計上すると繰越利益剰余金(純資産)が増加します。

例 49-3 P.254
決算において、当期純利益100円を計上した。
(借) 損 益 100
   (貸) 繰越利益剰余金 100

当期純利益なので、損益勘定は貸方残高
貸方の損益を借方へ振り替えます。
➡当期純利益の場合、損益は借方。

「損益」(貸方残高)➡「損益」は借方(左側)
「繰越利益剰余金」(純資産)が増加した➡「繰越利益剰余金」は貸方(右側)

その他有価証券評価差額金の計上

例 49-4 P.254
決算において、その他有価証券(帳簿価額80円)を時価95円に評価替えした。

 評価差額:95円-80円=15円→評価差益
(借) その他有価証券 15
   (貸) その他有価証券評価差額金 15
「その他有価証券」(資産)が増加した➡「その他有価証券」は借方(左側)
「その他有価証券評価差額金」(純資産)が増加した➡「その他有価証券評価差額金」は貸方(右側)

株主資本の係数変動

例 49-5 P.255
① 利益準備金800円を繰越利益剰余金に振り替えた。
(借) 利益準備金 800
   (貸) 繰越利益剰余金 800

利益準備金から繰越利益剰余金への振り替え
➡利益準備金を減らす
➡繰越利益剰余金を増やす

「利益準備金」(純資産)が減少した➡「利益準備金」は借方(左側)
「繰越利益剰余金」(純資産)が増加した➡「繰越利益剰余金」は貸方(右側)

 

例 49-5 P.255
② 資本準備金900円をその他資本剰余金に振り替えた。
(借) 資本準備金 900
   (貸) その他資本剰余金 900

資本準備金からその他資本剰余金への振り替え
➡資本準備金を減らす
➡その他資本剰余金を増やす

「資本準備金」(純資産)が減少した➡「資本準備金」は借方(左側)
「その他資本剰余金」(純資産)が増加した➡「その他資本剰余金」は貸方(右側)

まとめ

以上、「新しい日商簿記2級 商業簿記」STAGE4 テーマ12 剰余金の配当と処分に登場する仕訳を見てきました。

損益勘定からの振り替えは、3級の復習です。非常に重要な項目なので、3級のテキストでもう一度復習しておきましょう。剰余金の配当と処分準備金の積立額の計算株主資本等変動計算書は苦手にされている受験生が多いです。まずは、テキストの例題を何度も繰り返して理解しておきましょう。

仕訳の作り方

  • その勘定科目が資産・負債・収益・費用・純資産のどれにあたるのか
  • 資産・負債・収益・費用・純資産のホームポジションは、借方(左側)・貸方(右側)のどちらか➡資産費用借方(左側)負債収益純資産貸方(右側)

の2つが、仕訳を作るためには必須の知識となります。

もし仕訳の作り方を忘れたら、この2つのポイントに立ち返ってもう一度考えてみてください。

「新しい日商簿記3級」STAGE1のLesson3「仕訳の作り方」に、簿記の一番重要なポイントがよくまとめられています。2級の勉強を始められた方も、途中で何度かここに戻って「仕訳の作り方」を確認しておいてくださいね!