【新しい日商簿記2級 商業簿記 仕訳攻略9】引当金

新しい日商簿記2級 商業簿記 仕訳攻略9 引当金

2020年4月1日に出版された『Let’s Start! 新しい日商簿記2級 商業簿記 テキスト&問題集 2020年度版』「新しい日商簿記2級 商業簿記」)は、とにかく画期的な簿記本です。

テキストは全ページオールカラーで、ページレイアウトのセンスや色使いがvery good!

最高に美しく読みやすい簿記テキストに仕上がっています。

キャラ化した勘定科目簡単な場面設定により、とっつきにくい簿記が楽しく学べるので、これから簿記の勉強を始めてみようかな…と思っている方におすすめです。

簿記の基本は仕訳です。

「仕訳を制する者は簿記を制す!」と言われるほど重要なので、検定試験の合格を目指すなら、仕訳は何としても得意にしておきたいところ。

このページでは、「新しい日商簿記2級 商業簿記」STAGE3 テーマ9 引当金に登場する仕訳の徹底攻略法をまとめました。

引当金に登場する仕訳は以下のとおりです。

  • 貸倒引当金
  • 修繕引当金
  • 賞与引当金
  • 退職給付引当金
  • 商品保証引当金

 

 

この「新しい日商簿記2級 商業簿記」に登場する仕訳の中から特に重要な問題を厳選して

  1. 問題文
  2. 解答(仕訳)
  3. この仕訳になる理由

の順で掲載しました。

※仕訳問題は、滝澤 ななみ 先生の許可を得て掲載しています。「この仕訳になる理由」は、当サイトで作成したものです。

問題の下をクリックすると窓が開いて、解答(仕訳)この仕訳になる理由が読めるようになっています。

問題文を読んで、どんな仕訳になるのか少し考えてみる➡クリックして解答(仕訳)この仕訳になる理由を見て答え合わせ……という感じで、テキストを参照しながら使ってみてください。

もし解けない問題があったり、疑問点が生じた場合は、必ず「新しい日商簿記2級 商業簿記」に戻って確認しながら進めてくださいね。

それでは、合格目指してがんばっていきましょう!

引当金

貸倒引当金の仕訳

貸倒引当金とは、売掛金や受取手形などの債権が将来回収不能となるリスクに備えて設定する引当金をいいます。貸倒引当金は売掛金や受取手形(売上債権)のほか、貸付金(営業外債権)に対して設定します。

貸倒引当金の設定額=債権の期末残高×貸倒設定率(貸倒実績率)

例 34-1 P.179
決算において、売掛金の期末残高500円に対して、貸倒引当金を設定する。なお、Z社に対する売掛金200円については50%の貸倒引当金を設定するが、それ以外の売掛金については貸倒実績率2%で貸倒引当金を設定する。貸倒引当金の期末残高は8円である。

 貸倒引当金(Z社):200円×50%=100円
 貸倒引当金(Z社以外):(500円-200円)×2%=6円
 貸倒引当金繰入:106円-8円=98円
(借) 貸倒引当金繰入 98
   (貸) 貸倒引当金 98
「貸倒引当金繰入」(費用)が増加した➡「貸倒引当金繰入」は借方(左側)
「貸倒引当金」(負債)が増加した➡「貸倒引当金」は貸方(右側)

修繕引当金の仕訳

修繕引当金を設定したとき

例 35-1 P.181
決算において、修繕引当金100円を設定する。
(借) 修繕引当金繰入 100
   (貸) 修繕引当金 100
「修繕引当金繰入」(費用)が増加した➡「修繕引当金繰入」は借方(左側)
「修繕引当金」(負債)が増加した➡「修繕引当金」は貸方(右側)

修繕費を支払ったとき

修繕を行って、修繕費を支払ったときは、設定している修繕引当金(負債)を取り崩します。なお、修繕引当金を超える金額や当期分の修繕にかかる金額は修繕費(費用)で処理します。

例 35-2 P.182
建物の修繕を行い、修繕費150円を小切手を振り出して支払った。なお、修繕引当金100円がある。
(借) 修繕引当金 100
(借) 修繕費 50
   (貸) 当座預金 150
「修繕引当金」(負債)が減少した➡「修繕引当金」は借方(左側)
「修繕費」(費用)が増加した➡「修繕費」は借方(左側)
「当座預金」(資産)が減少した➡「当座預金」は貸方(右側)

賞与引当金の仕訳

賞与引当金を設定したとき

次期に支給される賞与のうち、当期発生分については賞与引当金繰入(費用)として処理します。貸方は賞与引当金(負債)とします。

例 36-1 P.184
決算(3月31日)において、次期の6月10日に支給する賞与600円(計算期間は12月1日から5月31日)について、賞与引当金を設定する。

 賞与引当金繰入:600円÷6か月×4か月=400円
(借) 賞与引当金繰入 400
   (貸) 賞与引当金 400
「賞与引当金繰入」(費用)が増加した➡「賞与引当金繰入」は借方(左側)
「賞与引当金」(負債)が増加した➡「賞与引当金」は貸方(右側)

賞与を支給したとき

賞与引当金の設定後、賞与を支給したときは、設定している賞与引当金(負債)を取り崩します。また、当期分の賞与については、賞与(費用)で処理します。

例 36-2 P.185
6月10日、賞与600円(計算期間は12月1日から5月31日)を現金で支払った。なお、前期の決算において賞与引当金400円が設定されている。

 前期分:400円
 当期分:600円-200円
(借) 賞与引当金 400
(借) 賞与 200
   (貸) 現 金 600
「賞与引当金」(負債)が減少した➡「賞与引当金」は借方(左側)
「賞与」(費用)が増加した➡「賞与」は借方(左側)
「現金」(資産)が減少した➡「現金」は貸方(右側)

退職給付引当金の仕訳

退職給付引当金を設定したとき

決算において、当期の労働分に対応する退職金の金額を見積もって、退職給付費用(費用)として計上します。貸方は退職給付引当金(負債)とします。

例 37-1 P.187
決算において、退職給付引当金100円を設定した。
(借) 退職給付費用 100
   (貸) 退職給付引当金 100
「退職給付費用」(費用)が増加した➡「退職給付費用」は借方(左側)
「退職給付引当金」(負債)が増加した➡「退職給付引当金」は貸方(右側)

退職金を支給したとき

従業員の退職において、退職金を支給したときは、設定している退職給付引当金(負債)を取り崩します。

例 37-2 P.187
従業員が退職し、退職金500円を当座預金口座から支払った。なお、退職給付引当金の残高は3,000円である。
(借) 退職給付引当金 500
   (貸) 当座預金 500
「退職給付引当金」(負債)が減少した➡「退職給付引当金」は借方(左側)
「当座預金」(資産)が減少した➡「当座預金」は貸方(右側)

商品保証引当金の仕訳

商品保証引当金を設定したとき

決算において、当期に販売した商品のうち次期以降に発生すると予想される修理費の金額を見積もり、商品保証引当金繰入(費用)として計上します。このとき、貸方は商品保証引当金(負債)とします。

例 38-1 P.189
決算において、当期の総売上高20,000円に対して0.2%の商品保証引当金を設定する。

 商品保証引当金繰入:20,000円×0.2%=40円
(借) 商品保証引当金繰入 40
   (貸) 商品保証引当金 40
「商品保証引当金繰入」(費用)が増加した➡「商品保証引当金繰入」は借方(左側)
「商品保証引当金」(負債)が増加した➡「商品保証引当金」は貸方(右側)

実際に修理が行われたとき

商品保証引当金の設定後、実際に修理が行われたときは、設定している商品保証引当金(負債)を取り崩します。なお、設定している商品保証引当金(負債)を超える金額については、商品保証費(費用)で処理します。

例 38-2 P.189
前期に販売した商品について、無料修理に応じた。この修理にかかった費用100円を現金で支払った。なお、商品保証引当金の残高は40円である。
(借) 商品保証引当金 40
(借) 商品保証費 60
   (貸) 現 金 100
「商品保証引当金」(負債)が減少した➡「商品保証引当金」は借方(左側)
「商品保証費」(費用)が増加した➡「商品保証費」は借方(左側)
「現金」(資産)が減少した➡「現金」は貸方(右側)

商品保証引当金の残高がある場合

商品保証引当金を設定した翌期末に、設定した商品保証引当金が残っている場合には、商品保証引当金(負債)を取り崩すとともに、貸方は商品保証引当金戻入(収益)で処理します。

例 38-3 P.190
決算において、前期の期末に設定した商品保証引当金の残高60円があるが、保証期間が経過したため、これを取り崩す。
(借) 商品保証引当金 60
   (貸) 商品保証引当金戻入 60
「商品保証引当金」(負債)が減少した➡「商品保証引当金」は借方(左側)
「商品保証引当金戻入」(収益)が増加した➡「商品保証引当金戻入」は貸方(右側)

売上割戻引当金

当期に販売した商品について、次期に売上割戻しを行うことが予想されるときは、決算において売上割戻しの金額を見積もり、売上割戻引当金繰入(費用)を計上します。貸方は売上割戻引当金(負債)とします。

例 38-4 P.190
決算において、当期の売上高10,000円に対して1%の売上割戻引当金を設定する。

 売上割戻引当金繰入:10,000円×1%=100円
(借) 売上割戻引当金繰入 100
   (貸) 売上割戻引当金 100
「売上割戻引当金繰入」(費用)が増加した➡「売上割戻引当金繰入」は借方(左側)
「売上割戻引当金」(負債)が増加した➡「売上割戻引当金」は貸方(右側)

 

次期になって、売上割戻しをしたときは、設定している売上割戻引当金(負債)を取り崩します。なお、当期に販売した商品について売上割戻しをしたときは、売上(収益)の減少で処理します。

例 38-5 P.191
売上割戻し120円を行い、売掛金と相殺した。このうち70円は前期売上分で、残りは当期売上分である。なお、売上割戻引当金の残高は100円である。
(借) 売上割戻引当金 70
(借) 売 上 50
   (貸) 売掛金 120
「売上割戻引当金」(負債)が減少した➡「売上割戻引当金」は借方(左側)
「売上」(収益)が減少した➡「売上」は借方(左側)
「売掛金」(資産)が減少した➡「売掛金」は貸方(右側)

返品調整引当金

いったん販売した商品でも、販売先からの請求にもとづいて、その商品を販売価格で買い戻す契約をしている場合には、次期の買い戻しに備えて返品調整引当金繰入(費用)を計上するとともに、貸方は返品調整引当金(負債)とします。

返品調整引当金は、予想返品分にかかる利益分(売上総利益)を計算して返品調整引当金繰入(費用)を計上します。

例 38-6 P.191
決算において、当期の売上高1,000円に対して返品率30%を見積って返品調整引当金を設定する。なお、当期の売上総利益は40%である。

 ①予想返品額:1,000円×30%=300円
 ②①に含まれる利益:300円×40%=120円
(借) 返品調整引当金繰入 120
   (貸) 返品調整引当金 120
「返品調整引当金繰入」(費用)が増加した➡「返品調整引当金繰入」は借方(左側)
「返品調整引当金」(負債)が増加した➡「返品調整引当金」は貸方(右側)

 

次期になって、販売先から返品を受けたときは、返品された商品の利益部分については返品調整引当金(負債)を取り崩します。また、原価部分については仕入(費用)で処理します。なお、当期に販売した商品について返品を受けたときは、売上(収益)の減少で処理します。

例 38-7 P.192
前期に掛けで売り上げた商品100円(売上総利益率40%)が返品された。なお、返品調整引当金の残高は120円である。

 利益部分:100円×40%=40円
 原価部分:100円-40円=60円
(借) 返品調整引当金 40
(借) 仕 入 60
   (貸) 売掛金 100
「返品調整引当金」(負債)が減少した➡「返品調整引当金」は借方(左側)
「仕入」(費用)が増加した➡「仕入」は借方(左側)
「売掛金」(資産)が減少した➡「売掛金」は貸方(右側)

まとめ

以上、「新しい日商簿記2級 商業簿記」STAGE3 テーマ9 引当金に登場する仕訳を見てきました。

貸倒引当金修繕引当金賞与引当金退職給付引当金商品保証引当金はいずれも決算手続きでよく出題される項目です。基本的な知識を抑え、決算時の仕訳ができるようにしておきましょう。

仕訳の作り方

  • その勘定科目が資産・負債・収益・費用・純資産のどれにあたるのか
  • 資産・負債・収益・費用・純資産のホームポジションは、借方(左側)・貸方(右側)のどちらか➡資産費用借方(左側)負債収益純資産貸方(右側)

の2つが、仕訳を作るためには必須の知識となります。

もし仕訳の作り方を忘れたら、この2つのポイントに立ち返ってもう一度考えてみてください。

「新しい日商簿記3級」STAGE1のLesson3「仕訳の作り方」に、簿記の一番重要なポイントがよくまとめられています。2級の勉強を始められた方も、途中で何度かここに戻って「仕訳の作り方」を確認しておいてくださいね!