2020年4月1日に出版された『Let’s Start! 新しい日商簿記2級 商業簿記 テキスト&問題集 2020年度版』（「新しい日商簿記2級 商業簿記」）は、とにかく画期的な簿記本です。
テキストは全ページオールカラーで、ページレイアウトのセンスや色使いがvery good！
最高に美しく読みやすい簿記テキストに仕上がっています。
キャラ化した勘定科目や簡単な場面設定により、とっつきにくい簿記が楽しく学べるので、これから簿記の勉強を始めてみようかな…と思っている方におすすめです。
簿記の基本は仕訳です。
「仕訳を制する者は簿記を制す！」と言われるほど重要なので、検定試験の合格を目指すなら、仕訳は何としても得意にしておきたいところ。
このページでは、「新しい日商簿記2級 商業簿記」STAGE2 テーマ4 有形固定資産①に登場する仕訳の徹底攻略法をまとめました。
有形固定資産①に登場する仕訳は以下のとおりです。
- 有形固定資産の割賦購入
- 減価償却
- 有形固定資産の売却
- 有形固定資産の買換え
- 有形固定資産の除却と廃棄
この「新しい日商簿記2級 商業簿記」に登場する仕訳の中から特に重要な問題を厳選して
- 問題文
- 解答（仕訳）
- この仕訳になる理由
の順で掲載しました。
※仕訳問題は、滝澤 ななみ 先生の許可を得て掲載しています。「この仕訳になる理由」は、当サイトで作成したものです。
問題文の下をクリックすると窓が開いて、解答（仕訳）とこの仕訳になる理由が読めるようになっています。
問題文を読んで、どんな仕訳になるのか少し考えてみる➡クリックして解答（仕訳）＆ この仕訳になる理由を見て答え合わせ……という感じで、テキストを参照しながら使ってみてください。
もし解けない問題があったり、疑問点が生じた場合は、必ず「新しい日商簿記2級 商業簿記」に戻って確認しながら進めてくださいね。
それでは、合格目指してがんばっていきましょう！
有形固定資産① 割賦購入、買換え、除却と廃棄など
有形固定資産の割賦購入の仕訳
有形固定資産の購入
取得原価＝購入代価＋付随費用
となります。
取得原価：780円＋20円＝800円
(貸) 未払金 780
(貸) 現 金 20
●「未払金」（負債）が増加した➡「未払金」は貸方（右側）
●「現金」（資産）が減少した➡「現金」は貸方（右側）
有形固定資産の割賦購入（購入時に前払利息で処理する方法）
購入時
有形固定資産を割賦購入したときは、原則として、現金正価を取得原価とし、利息分は前払利息（資産）で処理します。
①支払総額：210円×4回＝840円
②利息分：840円－800円＝40円 ←前払利息
(借) 前払利息 40
(貸) 未払金 840
●「前払利息」（資産）が増加した➡「前払利息」は借方（左側）
●「未払金」（負債）が増加した➡「未払金」は貸方（右側）
代金の支払時
代金を支払ったときは、支払った分に対応する利息を前払利息（資産）から支払利息（費用）に振り替えます。
支払った分の利息：40円÷4回＝10円
(貸) 当座預金 210
(借) 支払利息 10
(貸) 前払利息 10
●「当座預金」（資産）が減少した➡「当座預金」は貸方（右側）
●「支払利息」（費用）が増加した➡「支払利息」は借方（左側）
●「前払利息」（資産）が減少した➡「前払利息」は貸方（右側）
決算時
支払日と決算日が異なる場合には、最後の支払日から決算日までの利息分について、前払利息（資産）から支払利息（費用）に振り替えます。
40円は8か月分（4回×2か月）の利息だから
1か月分は 40円÷8か月×1か月＝5円
(貸) 前払利息 5
●「前払利息」（資産）が減少した➡「前払利息」は貸方（右側）
有形固定資産の割賦購入（購入時に支払利息で処理する方法）
購入時
有形固定資産を割賦購入したときは、原則として、現金正価を取得原価とし、利息分は支払利息（費用）で処理します。
①支払総額：210円×4回＝840円
②利息分：840円－800円＝40円 ←支払利息
(借) 支払利息 40
(貸) 未払金 840
●「支払利息」（費用）が増加した➡「支払利息」は借方（左側）
●「未払金」（負債）が増加した➡「未払金」は貸方（右側）
代金の支払時
代金を支払ったときは、支払った金額だけ未払金（負債）の減少で処理します。
(貸) 当座預金 210
●「当座預金」（資産）が減少した➡「当座預金」は貸方（右側）
決算時
購入時に利息総額を支払利息（費用）として計上しているので、決算日において、次期分の利息を支払利息（費用）から前払利息（資産）に振り替えます。
40円は8か月分（4回×2か月）の利息だから
5か月分は 40円÷8か月×5か月＝25円
(貸) 支払利息 25
●「支払利息」（費用）が減少した➡「支払利息」は貸方（右側）
減価償却の仕訳
減価償却の方法について、3級では定額法を学びました。2級では、新たに定率法と生産高比例法を学習します。
減価償却の方法① 定額法
減価償却費：500円×0.9÷5年＝90円
(貸) 備 品 90
●「備品」（資産）が減少した➡「備品」は貸方（右側）
減価償却の方法② 定率法
第1期の減価償却費：（500円－0円）×0.4＝200円
(貸) 備品減価償却累計額 200
第1期末の減価償却累計額：200円
●「備品減価償却累計額」（資産のマイナス）が増加した➡「備品減価償却累計額」は貸方（右側）
第2期の減価償却費：（500円－200円）×0.4＝120円
(貸) 備品減価償却累計額 120
第2期末の減価償却累計額：200円＋120円＝320円
●「備品減価償却累計額」（資産のマイナス）が増加した➡「備品減価償却累計額」は貸方（右側）
第3期の減価償却費：（500円－320円）×0.4＝72円
(貸) 備品減価償却累計額 72
第3期末の減価償却累計額：320円＋72円＝392円
●「備品減価償却累計額」（資産のマイナス）が増加した➡「備品減価償却累計額」は貸方（右側）
償却率の計算
200％定率法の償却率の求め方は次の通りです。
- 定額法の償却率：1÷耐用年数
- 200％定率法の償却率：定額法の償却率×200％
①定額法の償却率：1÷5年＝0.2
②定率法の償却率：0.2×200％＝0.4
③当期の減価償却費：（500円－200円）×0.4＝120円
(貸) 備品減価償却累計額 120
●「備品減価償却累計額」（資産のマイナス）が増加した➡「備品減価償却累計額」は貸方（右側）
減価償却の方法③ 生産高比例法
減価償却費：2,000円×0.9÷1,000km×150km＝270円
(貸) 車両運搬具減価償却累計額 270
●「車両運搬具減価償却累計額」（資産のマイナス）が増加した➡「車両運搬具減価償却累計額」は貸方（右側）
有形固定資産の売却の仕訳
期中に売却したとき
①当期分：4月1日から8月31日までの5か月分
②当期の減価償却費：（500円－200円）×0.4÷12か月×5か月＝50円
(借) 備品減価償却累計額 200
(借) 減価償却費 50
(貸) 備 品 500
(貸) 固定資産売却益 30
●「備品減価償却累計額」（資産のマイナス）が減少した➡「備品減価償却累計額」は借方（左側）
●「減価償却費」（費用）が増加した➡「減価償却費」は借方（左側）
●「備品」（資産）が減少した➡「備品」は貸方（右側）
●「固定資産売却益」（収益）が増加した➡「固定資産売却益」は貸方（右側）
有形固定資産の買換えの仕訳
有形固定資産の買換え
①旧資産の売却
(借) 現 金 1,500
(貸) 車両運搬具 3,000
(貸) 固定資産売却益 300
●「現金」（資産）が増加した➡「現金」は借方（左側）
●「車両運搬具」（資産）が減少した➡「車両運搬具」は貸方（右側）
●「固定資産売却益」（収益）が増加した➡「固定資産売却益」は貸方（右側）
②新資産の購入
(貸) 現 金 1,500
(貸) 未払金 2,500
●「現金」（資産）が減少した➡「現金」は貸方（右側）
●「未払金」（負債）が増加した➡「未払金」は貸方（右側）
③買換えの仕訳（①＋②）
(貸) 車両運搬具 3,000
(貸) 固定資産売却益 300
(貸) 未払金 2,500
(借) 車両運搬具減価償却累計額 1,800
(貸) 車両運搬具 3,000
(貸) 固定資産売却益 300
(貸) 未払金 2,500
●「車両運搬具減価償却累計額」（資産のマイナス）が減少した➡「車両運搬具減価償却累計額」は借方（左側）
●「車両運搬具」（資産）が減少した➡「車両運搬具」は貸方（右側）
●「固定資産売却益」（収益）が増加した➡「固定資産売却益」は貸方（右側）
●「未払金」（負債）が増加した➡「未払金」は貸方（右側）
有形固定資産の除却と廃棄の仕訳
除却したとき
(借) 貯蔵品 100
(借) 固定資産除却損 40
(貸) 備 品 500
●「貯蔵品」（資産）が増加した➡「貯蔵品」は借方（左側）
●「固定資産除却損」（費用）が増加した➡「固定資産除却損」は借方（左側）
●「備品」（資産）が減少した➡「備品」は貸方（右側）
廃棄したとき
(借) 固定資産廃棄損 190
(貸) 備 品 500
(貸) 現 金 50
●「固定資産廃棄損」（費用）が増加した➡「固定資産廃棄損」は借方（左側）
●「備品」（資産）が減少した➡「備品」は貸方（右側）
●「現金」（資産）が減少した➡「現金」は貸方（右側）
まとめ
以上、「新しい日商簿記2級 商業簿記」STAGE2 テーマ4 有形固定資産①に登場する仕訳を見てきました。
有形固定資産の割賦購入、減価償却、有形固定資産の売却、有形固定資産の買換え、有形固定資産の除却と廃棄はいずれも試験頻出のテーマで重要な仕訳です。しっかり理解して解答できるようにしておきましょう。
仕訳の作り方
- その勘定科目が資産・負債・収益・費用・純資産のどれにあたるのか
- 資産・負債・収益・費用・純資産のホームポジションは、借方（左側）・貸方（右側）のどちらか➡資産と費用は借方（左側）、負債と収益と純資産は貸方（右側）
の2つが、仕訳を作るためには必須の知識となります。
もし仕訳の作り方を忘れたら、この2つのポイントに立ち返ってもう一度考えてみてください。
「新しい日商簿記3級」STAGE1のLesson3「仕訳の作り方」に、簿記の一番重要なポイントがよくまとめられています。2級の勉強を始められた方も、途中で何度かここに戻って「仕訳の作り方」を確認しておいてくださいね！
