第132回簿記2級第4問は工業簿記から仕訳問題が出題されました。
仕訳問題の6問目は賃率差異の計上です。
本試験問題の改題を掲載しますので、どのような仕訳になるか考えてから解説を読んで確認してみてください。
問題
解説
製造間接費の予算差異、操業度差異を計算する問題と同様に、手順を踏んでしっかり理解していきましょう。
予定から実際を引きます。
差異を求める際は、必ず予定から実際を引きます。
逆にして実際から予定を引かないように注意してください。
実際:実際の消費賃金は前月未払高、当月支払高、当月未払高を加減して求めます。
実際の消費賃金
=当月支払高+当月未払高-前月未払高
=610,000円
+210,000円
-224,000円
=596,000円
という状況であることがわかります。予定から実際を引いてみると
594,000円-596,000円=△2,000円
とマイナスになるため
2,000円余計にかかってしまった。
ということがわかります。
マイナスになる場合(使いすぎの状態)➡不利差異、借方差異
プラスになる場合(節約できた)➡有利差異、貸方差異
といいます。
本問はマイナスなので、2,000円の不利差異となっています。
賃率差異勘定の状態を把握する
理解しやすくなるよう仕訳に直してみます。賃金の実際消費額は
実際消費額
(貸)
となります。「実際は借方」と覚えてしまいましょう。
賃金の予定消費額は、問5の材料から仕掛品・製造間接費に振り替える仕訳となります。賃金から仕掛品・製造間接費に振り替えるので、賃金を減らし仕掛品・製造間接費を増やします。賃金は費用なので費用の減少=貸方 です。「予定は貸方」と覚えておきましょう。
仕訳は
(借) 製造間接費 270,000
(貸) 賃 金 594,000
予定消費額
となります。
上の2つから「賃金」を抜き出すと
実際
(貸) 賃 金 594,000
予定
です。「実際は借方」「予定は貸方」と覚えてこの「賃金」だけの仕訳を書けるようにしておくと、差異の理解に役立ちます。
この仕訳を見ると貸方(予定)の金額 594,000円が借方(実際)の金額 596,000円より 2,000円不足して貸借が合いません。
この 2,000円不足している分を「消費価格差異」といい、工業簿記では「賃金」の借方貸方が同じになるように会計処理をします。
問題文の「賃率差異を計上」するとは、この不足分を追加計上して「賃金」の借方、貸方を同じ金額にするという意味なのです。
本問では貸方(予定)が不足しているので「賃金」を貸方に追加計上します。
つまり
(貸) 賃 金 2,000
ですね。
このままでは借方が空白のままなので、借方を「原価差異」で埋めます。
となります。
以上の仕訳をまとめると解答となります。
解答
(貸) 賃 金 2,000
「○○差異」が登場すると、苦手意識からすごく難しい問題に見えてしまいがちですが、手順を覚えてしまえば機械的に解けます。あせらずゆっくり理解を深めていきましょう。