第136回簿記2級第4問は工業簿記から仕訳問題が出題されました。
仕訳問題の5問目は予算差異、操業度差異です。
本試験問題の改題を掲載しますので、どのような仕訳になるか考えてから解説を読んで確認してみてください。
問題
解説
予算差異、操業度差異など差異が出てくる問題を苦手にする方が多いですが、次のような手順でゆっくり理解していきましょう。
予定から実際を引きます。
差異を求める際は、必ず予定から実際を引きます。
逆にして実際から予定を引かないように注意してください。
問題文から製造間接費の実際発生額は 3,400,000円、予定配賦額は 3,200,000円なので
という状況であることがわかります。引き算してみると
3,200,000円-3,400,000円=△200,000円
とマイナスになるため
ということがわかります。
マイナスになる場合(使いすぎの状態)➡不利差異、借方差異
プラスになる場合(節約できた)➡有利差異、貸方差異
といいます。
本問はマイナスなので、総額で 200,000円の不利差異となっています。
製造間接費勘定の状態を把握する
理解しやすくなるよう仕訳に直してみます。製造間接費の実際発生額は
実際発生額
(貸) 現金など 3,400,000
となります。「実際は借方」と覚えてしまいましょう。
製造間接費の予定配賦は、製造間接費を消費するという意味なので、費用の減少=貸方 です。「予定は貸方」と覚えておきましょう。
仕訳は
(貸) 製造間接費 3,200,000
予定配賦額
となります。
上の2つから「製造間接費」を抜き出すと
実際
(貸) 製造間接費 3,200,000
予定
です。「実際は借方」「予定は貸方」と覚えてこの「製造間接費」だけの仕訳を書けるようにしておくと、差異の理解に役立ちます。
この仕訳を見ると貸方(予定)の金額 3,200,000円が借方(実際)の金額 3,400,000円より 200,000円不足して貸借が合っていません。
この 200,000円不足している分を「予定配賦で生じた差異」といい、工業簿記では「製造間接費」の借方貸方が同じになるような会計処理をすることになっています。
問題文の「予定配賦で生じた差異を製造間接費勘定から予算差異勘定と操業度差異勘定に振り替える」とは、この不足分を追加計上して「製造間接費」の借方、貸方を同じ金額にするという意味なのです。
本問では貸方(予定)が不足しているので「製造間接費」を貸方に追加計上します。
つまり
(貸) 製造間接費 200,000
ですね。
このままでは借方が空欄のままなので、借方を「予算差異」「操業度差異」で埋めます。
操業度差異
月間の実際作業時間から1か月の基準操業度を引き、その時間に固定費率を掛けると操業度差異となります。変動費と固定費に分かれていない場合は、予定配賦率を使って計算します。
(800時間-1,000時間)×4,000円/時間
実際作業時間 1か月基準操業度
=△800,000円
差異がマイナス➡借方差異➡借方に記入
1,000時間=年間基準操業度12,000時間÷12か月
予算差異
1か月の予算から実際発生額を引いた金額が予算差異となります。
=4,000,000円-3,400,000円
1か月の予算 実際発生額
=600,000円
差異がプラス➡貸方差異➡貸方に記入
1か月の予算の求め方
48,000,000円÷12か月
=4,000,000円
操業度差異と予算差異について仕訳を書いてみると
(貸) 予算差異 600,000
となります。
以上の仕訳をまとめると解答となります。
解答
(貸) 製造間接費 200,000
(貸) 予算差異 600,000