第147回簿記2級第4問は工業簿記から仕訳問題が出題されました。
仕訳問題の5問目は製造間接費配賦差異です。
本試験問題の改題を掲載しますので、どのような仕訳になるか考えてから解説を読んで確認してみてください。
問題
当月の製造間接費予定配賦額は3,520,000円、当月の実際発生額合計は3,470,000円であった。当月の製造間接費の配賦差異を原価差異勘定に振り替えた。
解説
予算差異、操業度差異など差異が出てくる問題を苦手にする方が多いですが、次のような手順でゆっくり理解していきましょう。
予定から実際を引きます。
差異を求める際は、必ず予定から実際を引きます。
逆にして実際から予定を引かないように注意してください。
問題文より予定配賦額は 3,520,000円、実際発生額は 3,470,000円なので
という状況であることがわかります。引き算してみると
3,520,000円-3,470,000円=50,000円
答えがプラスなので
ということがわかります。
マイナスになる場合(使いすぎの状態)➡不利差異、借方差異
プラスになる場合(節約できた)➡有利差異、貸方差異
です。
本問はプラスなので、50,000円の有利差異となっています。
製造間接費勘定の状態を把握する
理解しやすくなるよう仕訳に直します。製造間接費の実際発生額は
実際発生額
(貸) 現金など 3,470,000
となります。「実際は借方」と覚えてしまいましょう。
製造間接費の予定配賦は、製造間接費を消費するという意味なので、費用の減少=貸方 です。「予定は貸方」と覚えておきましょう。
仕訳は
(貸) 製造間接費 3,520,000
予定配賦額
となります。
上の2つから「製造間接費」を抜き出すと
実際
(貸) 製造間接費 3,520,000
予定
です。「実際は借方」「予定は貸方」と覚えてこの「製造間接費」だけの仕訳を書けるようにしておくと、差異の理解に役立ちます。
この仕訳を見ると借方(実際)の金額 3,470,000円が貸方(予定)の金額 3,520,000円より 50,000円少なくなって貸借が合いません。
この 50,000円不足している分を「予定配賦で生じた差異」といい、工業簿記では「製造間接費」の借方貸方が同じになるよう会計処理をすることになっています。
問題文の「当月の製造間接費の配賦差異を原価差異勘定に振り替え」るとは、この不足分を追加計上して「製造間接費」の借方、貸方を同じ金額にするという意味です。
本問では借方(実際)が少ないので「製造間接費」を借方に追加計上します。
つまり
(貸)
ですね。
このままでは貸方が空欄のままなので、貸方を「原価差異」で埋めます。
(貸) 原価差異 50,000
となります。
以上をまとめると解答の仕訳となります。
解答
(貸) 原価差異 50,000