第145回日商簿記2級第1問2は合併の処理について仕訳問題が出題されました。
本試験問題の改題を掲載しますので、どのような解答になるか考えてから解説を読んで確認してみてください。
問題
北海道に拠点を築くために札幌商事株式会社を吸収合併し、新たに当社の株式100株(合併時点の時価@¥500)を発行し、これを札幌商事の株主に交付した。そのときの札幌商事の諸資産(時価)は¥87,000、諸負債(時価)は¥34,000であった。また、合併にあたっては、取得の対価のうち60%を資本金、残り40%を資本準備金として計上することとした。
目次
解説
札幌商事の諸資産の時価¥87,000と諸負債の時価¥34,000 の差額¥53,000(¥87,000-¥34,000)が札幌商事の正味の時価。
したがって¥53,000 の札幌商事を、¥50,000(=@¥500×100株)の当社株式で購入したと考えることができます。
このとき貸方に発生する差額は「負ののれん発生益」(収益)で処理します。
札幌商事の諸資産(時価)は¥87,000、諸負債(時価)は¥34,000であった。
吸収合併では、合併会社(当社)は被合併会社(札幌商事)の諸資産と諸負債を引き継ぐため、諸資産と諸負債を引き受ける仕訳を行います。
(借) 諸資産 87,000
(貸) 諸負債 34,000
(貸) 諸負債 34,000
…新たに当社の株式100株(合併時点の時価@¥500)を発行し、これを札幌商事の株主に交付した。…また、合併にあたっては、取得の対価のうち60%を資本金、残り40%を資本準備金として計上することとした。
札幌商事の株主に交付した当社株式の時価¥50,000(=@¥500×100株)を資本金とします。また、問題文に指示がある場合はそれに従います。
本問では、「取得の対価のうち60%を資本金、残り40%を資本準備金として計上する」という指示があるのでそれに従います。
¥30,000(取得の対価¥50,000のうち60%)
➡資本金
資本金➡純資産
純資産の増加=貸方
(借)
(貸) 資本金 30,000
(貸) 資本金 30,000
¥20,000(残り40%)
➡資本準備金
資本準備金➡純資産
純資産の増加=貸方
(借)
(貸) 資本準備金 20,000
(貸) 資本準備金 20,000
負ののれん発生益
いったんここまでの仕訳をまとめると
(借) 諸資産 87,000
(貸) 諸負債 34,000
(貸) 資本金 30,000
(貸) 資本準備金 20,000
(貸) 差額 3,000
(貸) 諸負債 34,000
(貸) 資本金 30,000
(貸) 資本準備金 20,000
(貸) 差額 3,000
となり、貸方に差額が発生します。貸方の差額は「負ののれん発生益」で処理します。
負ののれん発生益➡収益
収益の発生=貸方
(借)
(貸) 負ののれん発生益 3,000
(貸) 負ののれん発生益 3,000
以上をまとめたものが解答の仕訳となります。
解答
(借) 諸資産 87,000
(貸) 諸負債 34,000
(貸) 資本金 30,000
(貸) 資本準備金 20,000
(貸) 負ののれん発生益 3,000
(貸) 諸負債 34,000
(貸) 資本金 30,000
(貸) 資本準備金 20,000
(貸) 負ののれん発生益 3,000
第145回日商簿記2級第1問
問 | 出題論点・解説ページへのリンク |
---|---|
1 | 有形固定資産の割賦購入 |
2 | 合併 |
3 | 有価証券の購入、端数利息の処理 |
4 | サービス業の仕掛品計上 |
5 | 本支店会計 |