6月12日(日)に実施された第143回日商簿記検定試験から約1か月半が経ちました。書店の簿記検定コーナーに行くと、7月下旬の時点で最新の本試験問題を収録した2016年11月(144回)試験向けの過去問題集が出そろっています。
「過去問題集って、試験問題の解説が載っているだけでどれも同じでしょ」と思う方もいらっしゃると思いますが、よーく見比べてみると中身が異なっているもの。
そこで今回は、テキストの徹底比較に引き続いて、過去問題集について徹底比較してみたいと思います。
過去問題集の徹底比較
勉強の進んでいる方もそうでない方も、勉強がある程度進んで来たら過去問題集を解くことをおすすめします。過去問題は過去の本試験で実際に出題された問題なので、これで70点取れれば合格できることになります。
これが解ければ合格できると思えば、適度な緊張感を持って集中して勉強を進めることもできます。
ここに過去問題集をおすすめする大きな意味があります。
今回用意した過去問題集はTAC出版、成美堂出版、ネットスクール出版
の3冊。これらを見比べて、自分に一番合った過去問題集はどれか考えていきましょう。
過去問題集を比較する際のポイントは3つ。
- 解説がわかりやすいか
- 最新143回が収録されているか
- 収録回数
まずは解説のわかりやすさからチェックしていくことにします。
解説がわかりやすいか
過去問題集には、問題、答案用紙、模範解答が必ず収録されています。この3つについては、どの出版社のものを選んでも大差ありません。
ただ、解説については執筆者の力量や個性によって内容が大きく異なってくるため、もし可能であれば、書店で立ち読みをして読み比べることをおすすめします。
TAC出版の「合格するための過去問題集」は、「第1部 TAC式 出題別攻略テクニック編」「第2部 出題回数別過去問題編」の2部構成。第1部のテクニック編では、第1問から第5問までの設問タイプごとに本試験問題の解き方が詳しく解説されており、第2部では出題回数別に問題の解き方が解説されています。
▼TAC出版の「合格するための過去問題集」 はしがきより
成美堂出版の「ドンドン解ける! 日商簿記2級過去問題集 16~17年版」は、「第1部 各問題ごとの出題傾向と攻略法」「第2部 過去5年出題回数別問題」の2部構成。第1部では、出題パターン別に過去問の解き方を学ぶことができます。
ネットスクール出版の「未来のための過去問題集」も、上記2社の過去問題集と構成は似ています。
一見すると試験問題の解説はどれも同じように見えますが、内容は大きく異なります。
第141回検定第1問仕訳問題の設問2の解説を例に比較してみましょう。
これは TAC出版「合格するための過去問題集」の解説。解説の文章と考える道筋となる仕訳が示されたオーソドックスな形式で、計算式を交えてまとめられています。
次に、成美堂出版「ドンドン解ける」の解説。文章は少なめですが、こちらも計算式を交えた解説となっています。
最後にネットスクール出版「未来のための過去問題集」の解説です。こちらは、まず問題文のキーワード部分に網掛けが施してあり、その番号に対応して計算式と勘定科目が示されています。
ネットスクール出版「未来のための過去問題集」の解説では、このように解説部分に文章が一切なく計算式のみとなっているところが特徴的。これでは、特に初学者の方にとっては解き方がわかりにくく不親切なような気がしますがどうでしょうか?
ちなみに、ネットスクール出版も第2問から第5問の解説には、解説文(文章)がありました。なぜ第1問だけ解説文をつけなかったのか、不思議です。
私のみたところでは、この3冊の中では TAC出版「合格するための過去問題集」の解説が一番わかりやすく信頼できるという印象を受けました。みなさんも、立ち読みして解説文を読み比べてみてください。
最新143回が収録されているか
TAC出版「合格するための過去問題集」とネットスクール出版「未来のための過去問題集」の過去問題集には、6月12日に実施された第143回試験の問題・解説まで収録されていましたが、成美堂出版「ドンドン解ける」は第142回試験までとなっていました。
出題区分の改定で試験傾向が変化してきたことを考えると、やはり最新の第143回試験まで収録されている方がよいと思います。
収録回数
成美堂出版「ドンドン解ける」は15回分、TAC出版「合格するための過去問題集」は12回分、ネットスクール出版「未来のための過去問題集」は11回分収録されています。収録回数が多いほど1問あたりの単価が下がりお得と考えることもできますが、個人的には10回分以上収録されていれば十分かな…という気がします。
出題区分の改定に対する対応
各社の出題区分の改定に対する対応についてです。
今回の出題区分の改定により2級の試験範囲から除外される論点がありますが、それについては、各社の対応が次のように微妙に異なっていますので、一応抑えておくといいでしょう。
TAC出版:試験範囲から除外される論点を削除
成美堂出版:過去に出題された問題をそのまま掲載するとともに、注記を入れる
ネットスクール出版:廃止された論点を削除し、同レベルの新規論点に切り替え想定問題として出題
まとめ
以上より、当サイトではTAC出版「合格するための過去問題集」をおすすめします。
過去問題をマスターして、合格をつかみ取りましょう。
解説のわかりやすさ | 最新143回収録? | 収録回数 | 価格 | |
![]() | ◎ | ◎ | 12回 | 1750(会員価格) |
![]() | ◎ | ◎ | 12回 | 1944 |
![]() | 〇 | △ | 15回 | 1728 |
![]() | △ | ◎ | 11回 | 1944 |