第139回日商簿記2級第1問3は定期預金について仕訳問題が出題されました。
本試験問題の改題を掲載しますので、どのような仕訳になるか考えてから解説を読んで確認してみてください。
問題
解説
…定期預金が満期となった。この満期額に…受取利息手取額を加えた金額を…定期預金として継続した。
これは初めて見る問題でよくわからないという方がほとんどだと思います。そのような場合は自分の持っている知識を使いながら推測して答えを出していくしかありません。
まず定期預金は預金なので当座預金と同じ資産だということは想像がつきます。
「…定期預金が満期となった。この満期額に…受取利息手取額を加えた金額を…定期預金として継続した。」とあるので
定期預金満期➡定期預金をいったん引き出す➡利息を加えた金額を定期預金として再度預ける
という取引をイメージします。
定期預金➡資産
定期預金を引き出す➡定期預金の減少
資産の減少=貸方
と頭の中でイメージして
(貸) 定期預金 10,000
と書きます。定期預金を引き出していったん普通預金に預けたと仮定すると
普通預金➡資産
普通預金への預け入れ➡普通預金の増加
資産の増加=借方
と頭の中でイメージして
(貸)
となります。
定期預金(1年満期、利率年1%)
次に定期預金が満期になったときの利息を計上します。利率年1%なので、金額は
¥10,000×1%=¥100
仮に利息を普通預金で受け取ったとすると
普通預金➡資産
普通預金への預け入れ➡普通預金の増加
資産の増加=借方
と頭の中でイメージして
(貸)
受取利息は収益なので
受取利息➡収益
収益の発生=貸方
と頭の中でイメージして
(貸) 受取利息 100
となります。
仮払法人税等に計上する源泉所得税(20%)控除後の受取利息手取額
ただし、受取利息は全額もらえるわけではありません。問題文にあるように受取利息のうち20%は源泉所得税として引かれます。
¥100×20%=¥20
源泉所得税の¥20 普通預金を減らします。
普通預金➡資産
資産の減少=貸方
と頭の中でイメージして
(貸) 普通預金 20
借方科目が難しいですが、勘定科目群からなんとか探します。
仮払法人税等が正解です。税金なので租税公課と思った人もいるかもしれません。租税公課は誤りとなります。この問題は2級の範囲とはいえないと思うのでできなくても仕方ありません。
仮払法人税等➡資産
資産の増加=借方
と頭の中でイメージして
(貸)
いったんここまでをまとめてみると
(貸) 定期預金 10,000
(借)
(貸) 受取利息 100
(借) 仮払法人税等 20
(貸)
となります。普通預金の金額を整理すると
¥10,000+¥100-¥20=¥10,080
なので
(借) 仮払法人税等 20
(貸) 定期預金 10,000
(貸) 受取利息 100
となります。
問題文でいう「満期額に、仮払法人税等に計上する源泉所得税(20%)控除後の受取利息手取額を加えた金額」は¥10,080 のことです。この分を「1年満期の定期預金として継続」するため
定期預金➡資産
資産の増加=借方
と頭の中でイメージして
(貸)
となります。本問を解くときに「定期預金を引き出していったん普通預金に預けた」と仮定しています。次に普通預金から定期預金に預け替えをするので普通預金を減らします。
普通預金➡資産
普通預金から定期預金への預け替え
➡資産の減少=貸方
と頭の中でイメージして
(貸) 普通預金 10,080
以上をまとめると解答の仕訳となります。
普通預金勘定は考えやすくするため仮に置いたものなので、解答に書かないようにしてください。
解答
(借) 仮払法人税等 20
(貸) 定期預金 10,000
(貸) 受取利息 100
過去問の136回2級第1問 4 【手形の更改】が本問を解くうえでの参考になります。
第139回日商簿記2級第1問
問 | 出題論点・解説ページへのリンク |
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1 | 建設仮勘定と修繕費 |
2 | 長期前払費用 |
3 | 定期預金 |
4 | 修繕引当金と修繕費 |
5 | 固定資産税と不動産取得税 |