第132回簿記2級第4問は工業簿記から仕訳問題が出題されました。
仕訳問題の3問目は消費価格差異の算定です。
本試験問題の改題を掲載しますので、どのような仕訳になるか考えてから解説を読んで確認してみてください。
問題
解説
製造間接費の予算差異、操業度差異を計算する問題と同様に、手順を踏んでしっかり理解していきましょう。
予定から実際を引きます。
差異を求める際は、必ず予定から実際を引きます。
逆にして実際から予定を引かないように注意してください。
問題文より原料の当月払出分の計算は予定消費価格を用いて行い、実際払出価格の計算は実際の購入原価を用いて先入先出法で行います。
=350円/kg×1,300kg=455,000円
実際:実際購入原価×実際消費量
=月初分購入原価×実際消費量
+当月購入原価×実際消費量
=400円/kg×200kg
+380円/kg×(1,300-200)kg
=80,000円+418,000円
=498,000円
という状況であることがわかります。予定から実際を引いてみると
455,000円-498,000円=△43,000円
とマイナスになるため
43,000円使いすぎてしまった。
ということがわかります。
マイナスになる場合(使いすぎの状態)➡不利差異、借方差異
プラスになる場合(節約できた)➡有利差異、貸方差異
といいます。
本問はマイナスなので、43,000円の不利差異となっています。
原価差異勘定の状態を把握する
理解しやすくなるよう仕訳に直してみます。原料の実際消費額は
実際消費額
(貸)
となります。「実際は借方」と覚えてしまいましょう。
原料の予定消費額は、問2の材料から仕掛品に振り替える仕訳となります。材料から仕掛品に振り替えるので、材料を減らし仕掛品を増やします。材料は資産なので資産の減少=貸方 です。「予定は貸方」と覚えておきましょう。
仕訳は
(貸) 材 料 455,000
予定消費額
となります。
上の2つから「材料」を抜き出すと
実際
(貸) 材 料 455,000
予定
です。「実際は借方」「予定は貸方」と覚えてこの「材料」だけの仕訳を書けるようにしておくと、差異の理解に役立ちます。
この仕訳を見ると貸方(予定)の金額 455,000円が借方(実際)の金額 498,000円より 43,000円不足して貸借が合いません。
この 43,000円不足している分を「消費価格差異」といい、工業簿記では「材料」の借方貸方が同じになるように会計処理をします。
問題文の「消費価格差異を計上」するとは、この不足分を追加計上して「材料」の借方、貸方を同じ金額にするという意味なのです。
本問では貸方(予定)が不足しているので「材料」を貸方に追加計上します。
つまり
(貸) 材 料 43,000
ですね。
このままでは借方が空白のままなので、借方を「○○差異」で埋めます。この場合は「消費価格差異」勘定を使うことが多いですが、問題文の「原価差異勘定を用いること」という指示に従って「原価差異」で解答します。
となります。
以上の仕訳をまとめると解答となります。
解答
(貸) 材 料 43,000
「○○差異」が登場すると、苦手意識からすごく難しい問題に見えてしまいがちですが、手順を覚えてしまえば機械的に解けます。あせらずゆっくり理解を深めていきましょう。