労務費は予定配賦が行われる場合が多いです。問題文中に「予定消費賃率を用いて計算する」などと書いてあれば予定配賦の問題です。予定配賦はあくまでも予定の計算なので、後日判明する実際の金額とズレがあり差異が発生するのが普通です。ただし問題によって、その差異の計算が省略される場合(差異について触れられない場合)と差異の計算まで問われる場合とがあります。
ここでは労務費の予定配賦(差異の計算まで問われる場合)の解き方を確認しておきましょう。
例題
解説
予定消費賃率によって計算された賃金・給料の予定配賦額は300,000円。
これに対して、実際に発生した賃金・給料要支払額は310,000円でした。
つまり、予定していた300,000円に対し、実際には310,000円かかったので差額の10,000円だけ余計に労務費がかかったことになります。
そこで次にこの差額10,000円について原価差異(賃率差異)を計上していくことになります。このときの考え方を確認しておきましょう。
原価差異計上の考え方
今賃金・給料という費用を予定配賦した分については
賃金・給料➡費用
費用の減少=貸方
(貸) 賃金・給料 300,000
と記入されています。
これに対して労務費の実際発生額は
賃金・給料➡費用
費用の増加=借方
(貸)
と記入されています。
ということは、賃金・給料勘定の状態を仕訳で書いてみると
実際
(貸) 賃金・給料 300,000
予定
であることがわかります。
このままでは賃金・給料勘定の貸借が合いません。
そこで貸方の賃金・給料300,000円(予定)を実際の310,000円に合わせるにはどうすればいいかを考えます。⇦ここがポイントです。
➡答えは、貸方が10,000円足りないのですから、この差額の10,000円だけ貸方 賃金・給料10,000円と記入すればよいことになります。
そこで
(貸) 賃金・給料 10,000
と記入します。
空いている借方には問題文の指示により原価差異勘定を記入します。すると
(貸)
です。
この2つを合わせると解答の仕訳となります。
解答
(貸) 賃金・給料 10,000
賃率差異が出てくる問題の解き方をまとめておきます。
- 賃金・給料の貸方➡予定の金額
- 賃金・給料の借方➡実際の金額
- 予定を実際に合わせる➡不足している方に賃金・給料を記入する
- 相手側に指定の勘定科目(原価差異など)を記入する
この手順に従えば賃率差異が出てくる問題も必ず解けますので、しっかり覚えておきましょう。