工業簿記で「○○差異」という勘定科目が出てきたら、なぜか嫌な感じがします。「差異」という訳の分からない言葉が登場するだけでいっぺんに問題が難しく感じられるからかもしれません。
でも、手順を踏んで落ち着いて考えていけば、そんなに怖いものではありません。まずは、落ち着いてゆっくり確実に解けるようにしていきましょう。
実は差異があっても簡単なんですよ!
問題
解説
「○○差異を計上する」という場合、予定配賦した金額と実際発生額の差額を求め、その金額を「○○差異」に振り替えます。やることはこれだけです。
予定から実際を引きます。
差異を求める際は、必ず予定から実際を引きます。
逆にして実際から予定を引かないように注意しましょう。
実際:実際払出価格 39,000円(問題文より)
という状況です。予定から実際を引いてみると
36,000円-39,000円=△3,000円
とマイナスになります。つまり
3,000円余計にかかってしまった。
という状態であることがわかります。
マイナスになる場合(使いすぎの状態)➡不利差異、借方差異
プラスになる場合(節約できた)➡有利差異、貸方差異
といいます。
本問はマイナスなので、3,000円の不利差異となっています。
予定を実際に合わせる
材料の実際払出価格は材料元帳の記録から39,000円です。
(貸) 材 料 39,000
が実際の払出価格どおりになされるべき仕訳です。
次に材料の予定配賦額は、材料から仕掛品に振り替える金額です。材料から仕掛品に振り替えるので、材料を減らし仕掛品を増やします。材料は資産なので資産の減少=貸方 です。「予定は貸方」と覚えておきましょう。
仕訳は
(貸) 材 料 36,000
予定配賦額
となります。
この2つをみると、実際には39,000円分の素材が消費されており、「貸方 材料39,000」と処理されるべきところ、予定消費価格を用いた計算では、36,000円しか払い出されていないことになります。
予定計算はいわば仮の計算で、実際の金額が判明したらその金額に修正しなければなりません。
つまり予定配賦されている36,000円を実際払出価格の39,000円に修正する必要があります。
実際と予定の仕訳を見比べると貸方(予定)の金額 36,000円が借方(実際)の金額 39,000円より 3,000円不足しています。
問題文の「消費価格差異を計上」するとは、この「材料」の不足分を追加計上して実際の払出価格に修正することを意味します。
本問では「材料」を貸方に追加計上します。
つまり
(貸) 材 料 3,000
となります。
このままでは借方が空白のままなので、借方を「原価差異」で埋めます。
です。
以上の仕訳をまとめると解答となります。
解答
(貸) 材 料 3,000
「○○差異」が登場すると、苦手意識からすごく難しい問題に見えてしまいがちですが、仕訳の意味を考えれば機械的に解けます。あせらずゆっくり理解を深めていきましょう。