工業簿記第4問で仕訳問題が出題された場合にはここで扱っている仕訳問題の解き方を使えば簡単に答えを出すことができます。
今回は経費の仕訳問題の解き方について確認していきましょう。
経費の仕訳の注意点
経費は材料費、労務費以外の費用のことです。費用なので労務費とほとんど同じに考えます。
例題を解きながら確認していきましょう。
例題
外注加工費は費がつくので費用です。
費用は借方の科目です。
すると、
外注加工費➡費用
費用の発生=借方
(貸)
そして、「小切手を振り出して支払った」とあるので、当座預金を減らします。
当座預金➡資産
小切手を振り出して支払った➡当座預金の減少
資産の減少=貸方
(貸) 当座預金 10,000
となります。この2つをあわせると解答の仕訳となります。
解答
(貸) 当座預金 10,000
この外注加工費という費用は目には見えませんが、工場に投入される材料と同じように工場内で消費されることになります。
次に外注加工費消費時の仕訳を確認していきましょう。
外注加工費消費時の仕訳
次の例題を考えてみましょう。
例題
外注加工費は特定製品の製造のために消費されています。つまり、どの製品のための費用かがわかっています。このような経費を直接経費といい、消費したときには仕掛品を使って仕訳をします。
まず費用を消費した(使った)場合には材料を使ったとき材料を減らすのと同様に、費用を減らします。
外注加工費➡費用
外注加工費を消費した➡費用の減少=貸方
(貸) 外注加工費 10,000
またこのとき同時に仕掛中(製作中)の外注加工費が増えると考え、仕掛品も増加させます。
仕掛品➡資産
仕掛中(製作中)の外注加工費が増加する➡資産の増加=借方
(貸)
2つをあわせると解答となります。
解答
(貸) 外注加工費 10,000
減価償却費の場合
機械の減価償却費は経費に分類されます。減価償却費は材料費にも労務費にも当たらないからです。
例題
この場合、3級では
(貸) 機械減価償却累計額 6,000
のように仕訳を行いましたが、2級の問題文ではいきなり製造間接費勘定を使って処理する場合が多いです。
問題文の選択肢に減価償却費がなく製造間接費しかない場合
解答
(貸) 機械減価償却累計額 6,000
のように仕訳を行います。
例題
製造間接費から製造中を意味する仕掛品に振り替えます。
製造間接費➡費用
製造間接費を消費した➡費用の減少=貸方
(貸) 製造間接費 6,000
また、仕掛品➡資産
資産の増加=借方
(貸)
となり、この2つをあわせると解答の仕訳になります。
解答
(貸) 製造間接費 6,000
製品完成時の仕訳
最後に製品が完成した時の仕訳です。
例題
完成品は製品という勘定を使います。
製品は資産です。
仕掛品だった6,000円分が完成品となり、製品が増えたと考えることができます。
製品➡資産
完成した➡資産の増加=借方
(貸)
また、製品が完成したということは製造中をあらわす仕掛品が減ることを意味します。
仕掛品➡資産
製品が完成した➡資産の減少=貸方
(貸) 仕掛品 6,000
2つを合わせると解答仕訳となります。
解答
(貸) 仕掛品 6,000
まとめ
経費の仕訳は、選択肢として与えられている勘定科目に注意しながら、問題文に合わせて臨機応変に対応する必要があります。例題をしっかり確認しておきましょう。