日商簿記2級合格のポイントは、ズバリ工業簿記を得意にすることです。
工業簿記を得意にして、第4問・第5問を得点源にしましょう。この2問で35点(満点40点)近く取れれば、合格可能性はかなり高まります。
では、工業簿記を得意にするにはまず何からやればいいのでしょうか?
ズバリ仕訳を抑えることです。
簡単な例題(仕訳問題)を使いながら工業簿記の基本をマスターしていきましょう。
仕訳問題の解き方は3級と同じ
受験生の中には工業簿記の仕訳問題を苦手にされる方が意外に多いです。
ですが仕訳の方法は3級で勉強したのと同じなので、落ち着いて一つ一つ理解しながら進めていけば絶対にできるようになります。
具体的には3級で学んだ仕訳と勘定記入のやり方さえ知っていれば、工業簿記の仕訳も簡単にマスターすることができます。
原料購入時の仕訳
例題を解きながら確認していきましょう。
例題
解説
原料は資産で、材料勘定を使って仕訳します。
すると、
原料➡材料
材料➡資産
原料…を…購入した➡資産の増加=借方
となるので、
(貸)
そして、「掛けで購入した」のですから、相手は買掛金です。
買掛金➡負債
掛けで購入した➡負債の増加=貸方
(貸) 買掛金 1,000
となります。
解答
最後に2つを合わせると
(貸) 買掛金 1,000
となり、「原料1,000円を掛けで購入した。材料勘定を用いること。」の仕訳が完成します。
いかがでしょうか?
材料投入時の仕訳
次に材料を工場に投入したときの処理です。
例題で考えてみましょう。
例題
解説
原料が全部で1,000円分あるうちの900円を出してきて、加工を行う工場に投入しました。
この場合も原料は資産です。「原料を出庫する」ということは原料を使うということなので、その分原料を減らします。
原料➡材料
材料➡資産
原料を出庫し➡資産の減少=貸方
(貸) 材 料 900
この時点で、仕掛中(製作中)の材料が増えることになります。
仕掛中の材料は仕掛品という資産の勘定を使って仕訳するので、
仕掛品➡資産
仕掛中の材料が増加する➡資産の増加=借方
(貸)
となります。
解答
最後に2つをまとめると
(貸) 材 料 900
の仕訳ができあがります。
製品完成時の仕訳
最後に製品が完成した時の仕訳です。
例題
解説
完成品は製品という勘定を使います。
製品は資産です。
仕掛品のうち800円分が完成品となったので、製品が増えたと考えることができます。
製品➡資産
完成した➡資産の増加=借方
(貸)
また、製品が完成したということは製作中の原料がなくなったこととイコールです。
つまり、製作中の状態を表す仕掛品が減るということなので、
仕掛品➡資産
完成した➡仕掛品の減少
仕掛品の減少➡資産の減少=貸方
(貸) 仕掛品 800
解答
最後に2つを合わせると
(貸) 仕掛品 800
という解答の仕訳になります。
まとめ
このように材料は
- 材料を買ったとき(=材料)
- 製造中の状態になったとき(=仕掛品)
- 製品が完成したとき(=製品)
に材料➡仕掛品➡製品というように呼び方が変わります。
つまり材料の状態が変化するたびに仕訳をしていると考えることもできるのです。
買ったとき、使ったとき、完成したときにそれぞれどのような仕訳になるのかをしっかり確認しておきましょう。