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製造間接費の差異について

Q.製造間接費の差異について教えてください。

目次

A.製造間接費の差異には予算差異、能率差異、操業度差異があります。

予算差異について

予算差異は、変動予算を前提にすると、実際操業度(実際の作業時間)において許容された予算額と実際に発生した製造間接費との差額を意味します。
つまり、予算よりも多かった(使いすぎた)か少なかった(安く済んだ)かを表すもので、差異の中で1番重要なものと言われます。

予算差異は、補助材料、消耗品、電力の消費などが計画通りにいかなかったことや、材料の価格や工員の賃率が変動したことが原因で発生します。
そのため、原価管理に役立てるため、予算差異の原因が何からどの程度発生しているのかを改めて把握しようということになります。

能率差異について

能率差異は、作業時間を配賦基準としている場合には、

能率差異=標準配賦率×
{(標準操業度=標準作業時間)-(実際操業度=実際作業時間)}
 

という計算式で求めることができます。
つまり、能率差異は直接工が標準時間どおりに作業を進められなかったことによる不能率を表しています。
そこで、能率差異を改善するには直接工の作業管理を行うか、そもそも標準作業時間が適切なものであったかを検討することになります。
このため、能率差異は直接労務費の作業時間差異と発生原因が一致することになります。

操業度差異について

計算式

最後に、操業度差異ですが、

操業度差異=固定費率×(実際操業度-基準操業度)
 

という計算を行って求めます。
つまり、操業度差異は実際操業度と基準操業度のズレから生じる損失のことを表します。
この計算式にある固定費率という言葉に疑問を持たれた方がいらっしゃるかもしれませんので補足します。
本来固定費は操業度に関わらず一定額が発生しますが、

固定費率×時間
 

という計算を行うとまるであたかも変動費のように実際操業度によって金額が変動してしまいます。

固定費なのに金額が変動するというのは矛盾しているように見えます。
そこで、次のように考えてみてください。

たとえば固定費予算額10,000円、基準操業度200時間と計画し、固定費は予算通り10,000円発生したとします。
この場合、基準操業度200時間通り操業しようが、それよりも少なく160時間操業しようが、固定費は10,000円で変わらないので、一見差異はないように見えます。
しかし、基準操業度200時間のところ実際に200時間操業した場合と、実際に160時間操業した場合を比べると、どちらにしても10,000円かかるのであれば、最初の計画通り200時間操業した方がその分たくさん生産できたので良かったといえます。
逆に言うと、160時間しか操業しなかった場合には、あと40時間分操業していればその分生産できたはずなのに、その分をムダにしてしまったと考えることになります。

10,000円÷200時間=50円/時間
10,000円÷160時間=62.5円/時間
 

となります。このように固定費を時間で割って単位時間当たりの金額を出してみると、実際操業時間160時間の場合の方が、単位時間当たり固定費が割高になっています。この割高になった分だけムダが生じたということになります。
以上のことを教科書の表現を引用して言い換えると、
「操業度差異は、基準操業度で製造がなされなかったために固定費部分が製品原価に配賦漏れとなったことから生じた差異である」
ということになります。
また、固定費というのは操業度に関係なく一定額が発生するものなので、操業度差異は、固定費を変動費のように時間ごとに発生するとみなして計算した結果生じる差異で、原価管理上意味のないものと言われることもあります。
原価管理上意味がないというのは、作業現場の作業者や作業監督者等の努力では、実際操業度を増やしたり減らしたりはできない(管理不能)ということを意味します。

操業度差異の発生原因

操業度差異の発生原因は
1 製造や販売が特定の時期に集中する季節商品を製造する時のような季節的変動
2 景気状況など、一般的な市場の状況の変化
3 販売部門の不振
4 機械設備の整備不良などによる操業停止
などです。

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