第141回簿記2級第4問は工業簿記から仕訳問題が出題されました。
仕訳問題の2問目は賃金・給料の消費です。
本試験問題の改題を掲載しますので、どのような仕訳になるか考えてから解説を読んで確認してみてください。
問題
工場での賃金の消費額を計上した。直接工の作業時間の記録によれば、直接作業時間2,760時間、間接作業時間100時間であった。当工場で適用する予定総平均賃率は1,500円である。また、間接工については、前月賃金未払高200,000円、当月賃金支払高1,800,000円、当月賃金未払高150,000円であった。賃金勘定を使って仕訳すること。
解説
まず直接工による労務費の消費高を計算します。
本問では、予定総平均賃率と実際作業時間が与えられているので、この2つをかけ合わせれば解答の金額を求めることができます。
ちなみに予定賃率を使った場合であっても作業時間が実際であれば、予定賃率×実際作業時間で求められる金額は実際消費額と呼ばれます。
直接工の作業時間の記録によれば、直接作業時間2,760時間、間接作業時間100時間であった。当工場で適用する予定総平均賃率は1,500円である。
直接作業=仕掛品
労務費の実際消費額の計算です。
× 直接作業時間 2,760時間
= 4,140,000円 ➡ 仕掛品
直接工の直接作業は「仕掛品」で仕訳します。
「仕掛品」は資産で、資産が増えたら借方です。
直接工が作業した分だけ製造中の製品の価値が上がるので、資産が増えたと考え借方に記入します。
仕掛品➡資産
資産の増加=借方
(貸)
間接作業=製造間接費
次に間接作業分について実際消費額を計算します。
× 間接作業時間 100時間
= 150,000円 ➡ 製造間接費
直接工の間接作業は「製造間接費」で仕訳します。
「製造間接費」は「費」がつくので費用です。
費用が発生したと考え借方に記入します。
製造間接費➡費用
費用の発生=借方
(貸)
労務費を消費した
上の2つは直接作業と間接作業の違いはありますが、いずれも労務費の実際消費額の計算です。
「材料」を消費したときは、資産が減ったと考え、貸方に書きました。
同様に「賃金」という労務費を消費した=費用が減ったと考えて、「賃金」を貸方に記入します。
金額は直接作業分と間接作業分の合計になります。4,140,000+150,000=4,290,000
労務費➡賃金
賃金➡費用
労務費の消費➡費用の減少=貸方
(貸) 賃 金 4,140,000
また、間接工については、前月賃金未払高200,000円、当月賃金支払高1,800,000円、当月賃金未払高150,000円であった。
当月賃金支払高1,800,000円+当月賃金未払高150,000円-前月賃金未払高200,000円=1,750,000円。
製造間接費➡費用
費用の発生=借方
(貸)
労務費の実際消費額。
労務費➡賃金
賃金➡費用
労務費の消費➡費用の減少=貸方
(貸) 賃 金 1,750,000
以上の仕訳を合わせたものが解答の仕訳となります。
解答
(借) 製造間接費 1,900,000
(貸) 賃 金 5,890,000
製造間接費 150,000+1,750,000=1,900,000
賃金 4,140,000+1,750,000=5,890,000