日商1級に合格するには工業簿記・原価計算を得点源にしよう!

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ここでは日商簿記1級に合格するための工業簿記・原価計算対策について考えます。

日商簿記1級の試験科目には、商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4科目があり、商業簿記・会計学で90分、工業簿記・原価計算で90分、合わせて180分で試験が行われます。

配点は商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の各科目とも25点ずつです。各科目とも最低でも10点以上取らないと合計で70点を超えたとしても合格できないので、日商簿記1級試験に合格するためには、極力苦手な科目を作らないようにまんべんなく勉強しなければなりません。

ここで一つ気をつけなければならないのは、講座の授業をカリキュラムにしたがって学校の言う通りにこなしていくと、各科目の後半部分が手薄になってしまう危険性があるということです。商業簿記・会計学なら連結会計、工業簿記・原価計算なら意思決定会計という分野はたいていカリキュラムの後半で登場しますが、実はいずれも試験でよく出題される頻出分野です。

つまり、カリキュラム後半で学習するからといって、この分野が手薄なままでは合格が難しくなってしまうのです。

そこで私は講座の授業がカリキュラム後半まで進んでいないとしても、自分で勉強を進めて早めに対策をしておくべきだと思っています。

商業簿記・会計学の頻出分野である連結会計については、日商簿記1級 連結会計を得意にする勉強法で取り上げたので、今回は工業簿記・原価計算の対策についてまとめておくことにします。

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工業簿記・原価計算を得意科目にしましょう

1級の試験は途中休憩を挟みます。もし商業簿記・会計学で失敗したと思っても、そういう場合は他の受験生も「失敗しちゃったかも…」と思っている場合が多いので、そのような気持ちを引きずらず次の工業簿記・原価計算で切り替えてどれだけ立て直せるかがカギになります。工業簿記・原価計算を得意科目にしておけば、「商業簿記・会計学で多少失敗していても次で取り戻せるから大丈夫だ」と休憩時間中に気持ちを切り替えることもできます。

また、工業簿記・原価計算の配点は50点、商業簿記・会計学と同じで試験での重要性は同じですが、商業簿記・会計学に比べると工業簿記・原価計算の方が分量的には少ないので、工業簿記・原価計算の方が商業簿記・会計学よりもマスターしやすいといえます。そこで、実はどちらかというと手薄になりがちな工業簿記・原価計算を得点源にできれば、一気に上位に上がることも可能なのです。

このように工業簿記・原価計算は1級合格の決め手となる科目なので、これから試験まで工業簿記・原価計算を優先して勉強を進めていくのがいいでしょう。

また科目の特性として、工業簿記・原価計算は物語の流れの中で段階を踏んで考えた方が理解が進むという特徴があるのに対して、商業簿記・会計学は独立した個別論点が集まった科目というイメージで捉えることができます。

そこで普段忙しくてあまり勉強時間がとれないという方は、商業簿記の個別論点の学習は細切れ時間に回し、比較的まとまった時間がとれるときに工業簿記・原価計算を勉強するようにした方がいいと思います。

原価計算から始めましょう

1級の工業簿記は2級で初めて学んだ工業簿記をさらに発展させた内容になっています。これに対して原価計算は、1級で初めて学ぶ内容が多く工業簿記の知識がなくても理解できるものがほとんどです。そのため、実は原価計算から勉強を始めることも可能です。

簿記1級の代表的なテキストTAC出版のよくわかる簿記シリーズ 合格テキストの目次から、工業簿記・原価計算Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの学習範囲を見てみると

  1. 個別原価計算
  2. 費目別計算
  3. 部門別計算
  4. 総合原価計算
  5. 標準原価計算
  6. 直接原価計算
  7. 企業予算の編成
  8. 意思決定会計

の8つに分けて考えることができます。

このうち6.直接原価計算、7.企業予算の編成、8.意思決定会計の3つが、原価計算分野です。

6.直接原価計算は2級で学んだ内容を発展させたものなので、少しだけ難しくなりますが、7.企業予算の編成、8.意思決定会計は1級で初めて登場するところで基本的な内容なので、2級の工業簿記を学んでいれば十分理解可能です。

そこで、6.直接原価計算、7.企業予算の編成、8.意思決定会計の原価計算分野から勉強を進めるのがおすすめです。

目次

よくわかる簿記シリーズ 合格テキスト 日商簿記1級工業簿記・原価計算I Ver.5.0 
テーマ1 総論
テーマ2 原価記録と財務諸表
テーマ3 個別原価計算
テーマ4 材料費会計
テーマ5 労務費会計
テーマ6 経費会計
テーマ7 製造間接費会計
テーマ8 原価の部門別計算(I)
テーマ9 原価の部門別計算(II)
テーマ10 個別原価計算における仕損

よくわかる簿記シリーズ 合格テキスト 日商簿記1級工業簿記・原価計算Ⅱ Ver.5.0
テーマ1 総合原価計算の基礎
テーマ2 仕損・減損が生じる場合の計算
テーマ3 工程別総合原価計算
テーマ4 組別・等級別総合原価計算
テーマ5 連産品の原価計算
テーマ6 標準原価計算の基礎
テーマ7 標準原価計算における仕損・減損
テーマ8 原価差異の会計処理
テーマ9 標準の改訂

▼ここからが原価計算

よくわかる簿記シリーズ 合格テキスト 日商簿記1級工業簿記・原価計算Ⅲ Ver.5.0
テーマ1 経営管理のための会計情報
テーマ2 直接原価計算
テーマ3 直接標準原価計算
テーマ4 企業予算の編成
テーマ5 原価・営業量・利益関係の分析
テーマ6 最適セールス・ミックスの決定
テーマ7 事業部の業績測定
テーマ8 予算実績差異分析
テーマ9 差額原価収益分析
テーマ10 設備投資の意思決定
テーマ11 戦略の策定と遂行のための原価計算

 

原価計算の出題傾向・勉強の進め方

ここで、最近の本試験の出題傾向を振り返っておきましょう。過去14回の試験の論点を列挙すると次の表のようになります。

原価計算

論点
143 品質原価計算
141 CVP分析、事業部の業績測定
140 設備投資の意思決定
138 直接標準原価計算
137 直接原価計算
135 CVP分析、業務的意思決定
134 設備投資の意思決定(取替投資)
132 業務的意思決定、設備投資
131 CVP分析と予算実績差異分析
129 設備投資
128 CVP分析と予算実績差異分析、ABC
126 連産品の原価計算
125 意思決定会計
123 総合原価計算、セールスミックス

これによると、意思決定会計からの出題が6回、CVP分析・直接原価計算・予算実績差異分析関係が6回、その他の品質原価計算、連産品の原価計算、ABC(活動基準原価計算)、最適セールスミックスが各1回となっています(論点が重複するところがあるため、合計は16回)。

原価計算は、出題される論点がある程度決まっています。よく出題される意思決定会計やCVP分析、予算実績差異分析から対策を立てればよいということがわかります。

具体的な勉強の進め方としては

  内容
1 テキストで直接原価計算・意思決定会計の部分を読み進めざっくり内容を理解する
2 テキストの例題や問題集の問題を解く
3 原価計算の過去問を解く
ネットスクールの日商簿記1級過去問題集 2015年11月対策

という感じになります。

過去問を解く順番

  内容
105回原価計算 CVP分析
135回原価計算 CVP分析、業務的意思決定
138回原価計算 直接標準原価計算
137回原価計算 直接原価計算
128回原価計算 CVP分析と予算実績差異分析
131回原価計算 CVP分析と予算実績差異分析
141回原価計算 CVP分析と事業部の業績測定
125回原価計算 意思決定会計
77回原価計算 業務執行的意思決定
132回原価計算 業務的意思決定、設備投資
98回原価計算 設備投資(取替投資)
129回原価計算 設備投資
134回原価計算 設備投資(取替投資)
140回原価計算 設備投資の意思決定
143回原価計算 品質原価計算
126回原価計算 連産品の原価計算
123回原価計算 総合原価計算 セールスミックス

(網掛けはスペシャルチョイス問題)

問題を解くのに時間がかかるので少し大変ですが、目標は10日間でやってみましょう。

工業簿記の出題傾向・勉強の進め方

原価計算が終わったら、次は工業簿記です。過去12回の試験の出題傾向を振り返っておきます。

工業簿記

回数 論点
143 単純総合原価計算
141 費目別計算
140 費目別計算・本社工場会計
138 標準原価計算(配合差異・歩留差異)
137 工程別組別総合原価計算
135 費目別計算
134 標準原価計算(修正パーシャルプラン)
132 工程別標準原価計算
131 実際組別総合原価計算 
129 工程別組別総合原価計算 
128 工程別標準原価計算 
126 直接原価計算と全部原価計算
125 標準原価計算(シングルプラン)
123 標準原価計算(修正パーシャルプラン)

これによると、標準原価計算が6回、工程別原価計算が4回、実際総合原価計算が4回、費目別計算が3回、本社工場会計、連産品の原価計算が1回ずつ出題されていることがわかります(論点が重複するため合計は19回)。

工業簿記は出題のバリエーションが多く少し戸惑ってしまいますが、まずは最近出題されている論点を中心に対策を立てていけばいいでしょう。

勉強の進め方は次のようになります。

  内容
1 テキストの例題や問題集の問題を解く
2 工業簿記の過去問を解く
ネットスクールの日商簿記1級過去問題集 2015年11月対策
3 理解が不十分なところをテキストに戻って理解する

工業簿記の内容を頭から順にやっていく余裕はありません。テキストの例題や問題集の問題、さらに過去問をまず解いてみて、理解が不十分なところだけテキストに戻って確認するという流れで問題演習中心で進めていくのがいいと思います。

過去問を解く順番

  内容
135回工業簿記 費目別計算
141回工業簿記 費目別計算
98回工業簿記 部門別計算
143回工業簿記 単純総合原価計算
137回工業簿記 工程別組別総合原価計算
129回工業簿記 工程別組別総合原価計算 
131回工業簿記 実際組別総合原価計算
123回工業簿記 標準原価計算(修正パーシャル)
125回工業簿記 標準原価計算(シングル)
134回工業簿記 標準原価計算(修正パーシャル)
128回工業簿記 工程別標準原価計算
132回工業簿記 工程別標準原価計算
138回工業簿記 標準原価計算(配合差異歩留差異)
105回工業簿記 工程別標準原価計算
111回工業簿記 標準原価計算(差異の追加配賦)
140回工業簿記 費目別計算・本社工場会計
126回工業簿記 直接原価計算と全部原価計算

(網掛けはスペシャルチョイス問題)

目標は14日間とします。

スペシャルチョイス問題

ネットスクールの過去問題集を持っている場合は、スペシャルチョイス問題として古い回の過去問が過去問題集に掲載されているので、余裕があればここまでやっておきましょう。

  内容
98回工業簿記 部門別計算
105回工業簿記 工程別標準原価計算
111回工業簿記 標準原価計算(差異の追加配賦)
77回原価計算 業務執行的意思決定
98回原価計算 設備投資(取替投資) 
105回原価計算 CVP分析

スケジュール

以上のように、24日間=約4週間を使って工業簿記・原価計算対策をしっかり行いましょう。

工業簿記・原価計算は得点源にすべき科目なので、決して手を抜いてはいけません。

過去問の中には、データの整理が面倒くさくて心が折れそうになる問題もありますが、これは面倒くさいだけで決して難しいわけではありません。面倒くさいと思わずに一つ一つ整理していけば必ず問題が解けます。

がんばっていきましょう!

  目標日数
連結対策 14日間
原価計算対策 10日間
工業簿記対策 14日間
合計 38日間
商業簿記対策 残りの時間すべて

▼連結対策についてはこちら
日商簿記1級 連結会計を得意にする勉強法

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ネットスクールの日商簿記1級過去問題集 2015年11月対策

 
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工業簿記・原価計算を究めるウラ技

短期間に集中してこれだけの量をこなすことができれば、工業簿記・原価計算に対する苦手意識はなくなっていると思います。

もし今受験に専念できる状況で時間がとれるため、もっと工業簿記・原価計算を究めたいという方には、LECの公認会計士講座、管理会計論をおすすめします。授業を担当される池邉宗行先生は、受験業界で大変有名な方でキレのある講義に定評があります。

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