精算表問題で必ず出題される決算整理仕訳。
今回はそんな決算整理仕訳の中から売上原価の計算を取り上げて解説します。
日商簿記3級では売上原価の計算が毎回必ず100%出題されています。解き方をしっかりマスターしておきましょう。
売上原価の計算
次のような問題文資料があるとします。
問題文資料
3.期末商品棚卸高は¥350である。売上原価は、「売上原価」の行で計算すること。
この世界で一番簡単な例題を通して売上原価の計算の解き方を考えていきましょう。
解説
おなじみの「売上原価は、「仕入」の行で計算すること」ではなく
となっています。
さっそく解いていきましょう。
期末商品の金額は、¥350 と与えられているので、すぐに答案用紙に記入します。 書く場所は、繰越商品の貸借対照表欄の借方です。
次に、「仕入」を売上原価の金額になるように修正する問題が多い中、本問は「仕入」ではなく「売上原価」を売上原価の金額にする問題です。
文章で説明してもややこしいだけなので、図を使って説明していきましょう。
「仕入」を売上原価の金額になるように修正する場合は、「仕入」に商品の金額を集めました。
本問では「売上原価」を売上原価の金額になるようにするため、まずは「売上原価」に商品の金額を集めます。
そこで、「売上原価」の修正記入欄の借方に残高試算表の繰越商品(期首商品)の金額を書きます。
また、「仕入」にある当期商品仕入高の金額も「売上原価」に移します。
すると、これで商品全部が「売上原価」に集められたことになります。
この段階で「売上原価」が商品の金額の合計になります。
このままだと、「売上原価」の金額は期首商品¥290と当期に仕入れた商品¥3,150の合計¥3,440となります。
もしすべての商品が売れたのであれば、このままこの合計金額を費用に計上すればいいのですが、本問では全ての商品が売れているわけではなく、売れ残った商品(期末商品)があります。
そのため売れ残った期末商品は費用に計上できないので、その分を売上原価から減らします。
売上原価は費用で借方の科目です。ここでは売上原価(費用)を減らしたいので、貸方に¥350を記入します。ここで電卓を使えば
290 |
+3150 |
–350 |
= |
となり、
が求められます。これは売れた商品の原価の金額(売上原価の金額)です。「売上原価」の損益計算書欄の借方に記入します。
あとは、繰越商品の行の貸方に期首商品の金額¥290を記入すればOKです。
こうして「しくりくりし」の仕訳を精算表に記入すれば終了です。
(借方) 売上原価 290
(貸方) 繰越商品 290
(借方) 売上原価 3,150
(貸方) 仕 入 3,150
(借方) 繰越商品 350
(貸方) 売上原価 350
まとめ
売上原価の行で計算する場合の仕訳は、「売上原価、繰越商品、売上原価、仕入、繰越商品、売上原価」の頭文字をとって「うくうしくう」とすると覚えやすいと思います。
売上原価の計算はよく出題されるところなので、しっかりおさえておいてくださいね。